NEAT・EAF関連活動
NEAT第39回CCM
メモ
2024年5月30日
東アジア共同体評議会(CEAC)事務局
ASEAN+3(APT)首脳会議の傘下にある「東アジア研究所連合(NEAT)」の「国別代表者会議」(CCM)が、5月30日に日本主催により、下記1.~4.の要領でオンライン開催された。
- 1.日 時:2024年5月30日(木)13時より15時(日本時間)まで
- 2.開催方法:オンライン形式(ZOOMウェビナー)
- 3.出席者:各国のNEAT代表者など26名。日本からは菊池誉名・東アジア共同体評議会事務局長が参加した。
- 4.内容
2024年度のNEATの諸活動の報告などの他、今年度、NEAT日本、中国、韓国が主催する個別テーマによる作業部会(WG)の設置が提起された。各WGの内容については以下のとおりである。
(1)「災害対応における女性・平和・安全保障(WPS)の促進」WG(NEAT日本主催)
国際社会においては、2000年10月に国連安全保障理事会が国際紛争の予防・解決・平和構築・平和維持のあらゆるレベルにおいて女性を「積極的主体」として位置付けた「Women, Peace and Security: WPS」に関する決議1325号を全会一致で採択した。そしてそれ以降、同決議を補完するための決議が次々に採択されている。このように、WPS が、国際社会の重要課題と位置づけられるなかで、アジア太平洋地域は、世界で最も自然災害が生じる地域であり、災害対応におけるWPSの促進が必要となっている。女性は、災害発生時に乳幼児や高齢者を保護しながら避難する場合が多く、男性よりも脆弱性が高まり、その結果、男性よりも死亡の割合が高い傾向にある。また避難後の避難所での生活では、物資の不足、性暴力などにより女性と女児が困難な状況におかれることが多い。こうしたなかで、女性が防災のあらゆる意思決定プロセス積極的に参画し、また対応する主体者としても参画することが必要となっている。そして女性が参画することで、より社会のレジリエンスを高めることにつながり、東アジアにおいてこの分野の地域協力を進める意義は大きい。本WGでは、災害対応においてWPSを如何にして促進していくのかについて、具体的な政策提言をまとめていきたい。
(2)「東アジアにおけるサプライチェーンの連結性強化」WG(NEAT中国主催)
グローバル・サプライチェーンは、地域化、現地化、多様化、デジタル化、グリーン化の傾向に伴い、劇的な変化を遂げつつある。東アジアは世界のサプライチェーンに深く組み込まれており、その世界シェアは北米とEUにほぼ匹敵する。東アジア地域のサプライチェーンの連結は、世界経済の回復力と安定にとっても不可欠である。しかしながら東アジアは、地域的・国際的情勢の中で、依然として複数の課題に直面している。第一に、COVID-19パンデミックと気候変動は、グローバル・サプライ・チェーンの脆弱性を露呈し、生産と物流の混乱を引き起こし、サプライ・チェーンのリスク管理の重要性を浮き彫りにした。第二に、地政学的緊張の高まり、貿易保護主義、反グローバリズムは、地域経済協力に課題を突きつけている。第三に、技術の進歩とデジタル変革の進展に伴い、地域諸国は新興技術においてますます熾烈な競争を繰り広げている。したがって、地域のサプライチェーンの連結性に関する研究をさらに進めることは、地域の回復力を高め、地域の社会経済的持続可能な発展と繁栄を促進する上で大きな意義がある。本WGでは、サプライチェーンの連結性に関する既存の協力関係を基礎として、ASEAN、ASEAN+3、ASEAN+1、日中韓協力、一帯一路構想など、この分野における既存の地域協力メカニズムや枠組み、旗艦プロジェクトの相乗効果を促進させるための具体的な政策提言をまとめていきたい。
(3)「SDGsのための東アジア協力:持続可能な都市とコミュニティ」WG(NEAT韓国主催)
持続可能な開発目標(SDGs)の達成は、多様な世界的危機を克服する上で極めて重要な要素である。特に、SDGsは貧困、気候変動、生態系、平和など様々なテーマを扱っており、これらの複雑な課題に取り組むための多角的な協力の必要性が高まっている。SDGsの実行は各国の領域に属するが、目標の実現に向けた各国の努力を補完し相乗効果を高めるための国際協力も必要である。この文脈において、ASEANプラス3(APT)の枠組みは、加盟国の多様な状況や願望を考慮した上で、協力のための十分な機会を提示しているといえよう。こうしたなかで、SDGsアジェンダ11に含まれる持続可能な都市とコミュニティは、気候変動、貧困、教育、インフラに関連する共通の目標に取り組む場として重要である。WGでは、SDGsアジェンダ11の実現に向けて、東アジアの都市やコミュニティにおけるSDGs実施のベストプラクティスに関する知識の共有を促進し、APT の機能協力と可視性を高めるための戦略的対応と政策に関する提言をまとめていきたい。
以上
文責:事務局