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2009-04-07 10:23

(連載)「飛翔体」とはなにごとか(2)

花岡 信昭  ジャーナリスト
 NHKの対応は実に奇妙だった。11時半の打ち上げ発表直後から臨時ニュースに切り替えたのは当然としても、12時半になったら、15分遅れで「のど自慢」になってしまった。これが終わってちょっとニュースをやったと思ったら、こんどは、認知症の予防対策についての番組の再放送である。NHKは自分の認知症状況を検証するほうがいい。こういうときはいつもそうなのだが、CNNを見ることになる。こちらは予定を変更して、延々とブレイキング・ニュースを展開してくれる。

 NHKは民放の一部よりも扱いが悪かった。テポドン2がどれほどの重大事態なのか、その基本認識を疑う。秋田や岩手あたりに落下物はないかと徹底調査しているときに、「のど自慢」ではどうしようもない。NHKはいくつも波を持っているのだから、ひとつぐらいは、ニュース専門局にすればいい。日本版CNNだ。それなら料金不払いもだいぶなくなるのではないか。新聞はどうか。5日付朝刊を見よう。なんともいやらしいことに気づいてしまった。テポドン2のニュースを伝える1面記事の書き出し部分だけ並べてみる。

 朝日「北朝鮮が発射準備を進めていた長距離弾道ミサイル「テポドン2」の改良型とみられる機体は4日、・・・」→さすが、優秀なスタッフがそろっているというべきか、「機体」ときた。これはすごい表現である。

 毎日「政府は4日、北朝鮮の長距離弾道ミサイルが「発射された模様」との誤発表をしたことについて、・・・」→毎日らしからぬといっては失礼だが、これはいさぎよい表現だ。長距離弾道ミサイルときちんと書いている。

 読売「北朝鮮が「人工衛星打ち上げ」名目に長距離弾道ミサイル発射を準備している問題で、・・・」→これも、きちんと書かれている。

 日経「北朝鮮は「人工衛星」を搭載していると主張する長距離弾道ミサイルの発射について、・・・」→こちらもしごく妥当な表現だ。

 さあ、そこで産経はどうなっているか。「北朝鮮による長距離弾道ミサイル「テポドン」の改良型とみられる飛翔体の発射計画について、・・・」→正直にいえば、これを読んだ瞬間、うわーっとのけぞってしまった。なんで産経が飛翔体という言葉をリードの書き出しで使わなくてはいけないのか。政府の発表文や官房長官らの記者会見で飛翔体という言葉が出て、これをそのまま記事にしなければならない場合は仕方がない。そうではない「地の文章」で、これを使うのは神経を疑う。これは産経史上、歴史的汚点記事となるに違いない。なんで飛翔体という言葉をつかってはいけないんでしょうか、という後輩からの電話が入らないことを祈るのみだ。そんな電話がきたら、どやしあげる以外にない。(おわり)
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