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2009-02-25 20:16

総理大臣の器を問う

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 「地位が人間を作る」という意見もあるが、逆に「やはり野に置けレンゲソウ」というのも事実だ。幕内上位で三役をコロコロ倒している頃には魅力があったが、三役になったとたんに迫力がなくなり、どうかすると八勝七敗で在位新記録を更新する、という大関が現れたりする。力士はともかくとして、器ではない人間が、政界や財界で指導者の地位に就くと何が起こるだろうか。実績を期待値で割った商が満足度だとすると、もともと期待値さえ低ければ別に問題はない、という見方もないではない。逆にオバマ大統領のように無闇に期待値が高いと、なまじの実績では満足度は低くなりかねない。それ以前に暗殺されるようなことがないことを祈る、という話ではあるのだが。さてわが国の総理大臣はどうか。

 史上空前の低支持率で、実力だ、期待値だ、という以前の森喜朗氏が退陣してから、とまれ抜群の人気度を誇った小泉純一郎が長期政権を樹立した。このあたりから、あるいは総理大臣に何かを期待しても良いのではないか、期待できるのではないか、というメンタリティが国民の間に生まれたのではないか。その後何が起こったかは敢えて詳説するまでもあるまい。そして麻生太郎氏、である。もしかしたら、と考えた人と、所詮は器ではないよ、と醒めていた人と、どちらが多かったかは今は問題ではない。つまり期待値を云々する以前に、この総理大臣の実績、あるいは実績として残そうと考えている信条のようなものは一体なんなのだろう、というあたりが全く見えてこない。というか、一貫性が認識できないといった方が良いのかもしれない。

 「日本経済は全治3年」と明言し、民主党に敢然と論戦を挑んだあたりでは、いささかの期待を筆者も抱いたものだった。しかし、それからがいけない。無原則ともいえる妥協が先行して、このリーダーは一体何がしたいのだろう、というのがまるで見えなくなってしまった。諸事順調に世の中が推移しているのなら、あるいはそれでも良いという見方もあるだろう。しかし、この多事多難なときに、政治家がこの有様では、何のことはない日本国の舵取りは、再び官僚の手に委ねられてしまうことになる。責任をとることが求められていないシステムが、国民の将来を左右することになるのだ。即効薬もなければ、決め手がある訳でもない。気骨のある政治家、もっと具体的にいうと、何をどうしたいのかをはっきり国民の前に示し得る政治家が、市民社会と連携して選択肢を明確にする以外、この難局は打開できまい。

 「大きい政府だ」「小さな政府だ」といった手あかのついたコトバ遊びに堕している時でもなければ、弱者救済に言を藉りて、官僚の手による規制強化をはかり、あげくの果てに「渡り」に例外を作っている場合でもない。ことは内需喚起であり、無用な規制の撤廃である。日本国民の活力と英知(はやりのコトバでいえば社会資本)は、無用のタガさえ外せば、強くよみがえると信じている。それにしても、史上空前の不人気を以て知られる人が、キングメーカーを気取ったり、1年で首相を投げ出した人が外国に行って日本の政治の現状にコメントしたり、解せないことが多い。
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