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2009-01-07 16:19

元日付けの新聞トップはこれでよいのか

花岡 信昭  ジャーナリスト
 新聞社の現役時代、元日紙面の1面トップはトクダネで飾るのが恒例だった。だから、各部ともこれぞと思うネタを元日付に出そうと競い合った。これがこのところ変わってきた。大型企画を1面トップに置くことが増えた。今年はさらにその傾向が顕著になった。主要紙でみると、ストレート・ニュースで勝負していたのは、読売だけであった。各紙の元日付1面トップは、以下の通りとなった。
 
 朝日 「世界変動」「陰るハリウッド カネも仕掛けも行き詰まる」 
 毎日 「アメリカよ 新ニッポン論」「三菱UFJのモルガン出資決断 米政府異例の謝意」 
 読売 「生体認証破り入国」「テープで指紋変造」
 産経 「冷戦終結から20年 経済グローバル化危機」「黎明の光はいつ差すのか」
 日経 「世界この先」「危機がひらく未来へ」「トヨタ、太陽電池車で挑む」

 世界的な金融経済危機の中で日本はどう生き延びようとするのか、そのテーマをさまざまな角度から掘り下げる、という点で共通している。その意図はわかる。であるにしても、新聞OBとしては、なにか寂しい。新聞がストレート・ニュースでの勝負を避けているように思えるからだ。以前は、元日付を狙ってネタを仕込んだ。他社も同じネタを追いかけているのではないか、先に抜かれはしないか、と大晦日がくるまでの何日間かは、胃の痛くなる思いもした。がまんできずに、暮れにぶち上げるケースもあった。ニュースはネットやテレビのほうが早い、というのは実は錯覚だ。たしかに「発生もの」の速報は、そういう媒体のほうが早いのは、言うまでもない。

 だが、スクープは新聞の独壇場といっていい。テレビやネットには、その力量は備わっていない。第一次情報に限りなく近くまで接近し、常時フォローできる媒体は、新聞しかない。スクープはそこから生まれる。スクープは、テレビやネットよりも新聞のほうが早いのだ。新聞の危機が伝えられて久しいが、ストレート・ニュースで勝負できる態勢こそが新聞の持つ資産だ。むろん、活字の重みがそこについてくる。活字でこそ、熟慮の対象となる。テレビのディベートは見ている分にはおもしろいが、その背後に活字分野の蓄積があってはじめて本物となる。新聞の現状と将来を改めて考えさせられる元日の1面紙面であった。
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