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2008-12-12 09:51

(連載)ああ、週刊誌!(1)

花岡 信昭  ジャーナリスト
 週刊誌というのは、「見出し、先にありき」で、おもしろく仕立てるのが売りだ。新聞などのメディアが切り込めないところまで思い切って踏み込むから、存在価値があった。だが、ここまで「作文」が過ぎると、いったいどういうことになるのか。このところ、この問題ばかりにかかわっているが、「田母神論文」だ。筆者は、何度も言うようで恐縮だが、審査委員として関係したことから、あえて自分の役割を演じようとしてきた。それは、審査委員長の渡部昇一・上智大名誉教授や小松崎和夫・報知新聞社長に細部まで説明をお願いするというのは、お立場を考えるとよくないと思ったからだ。

 審査委員の中で筆者が最も自由に対応できる立場にあると判断し、週刊誌などの取材には懇切丁寧に応じてきた。もう1人の審査委員だった中山泰秀衆院議員(論文募集の開始当時、外務政務官)は、秘書を審査会に出席させた。自身が出席できないのであれば審査委員を辞退すればいいと思っていたのだが、案の定この秘書は「自分は田母神論文に零点をつけた」と公言した。この秘書の真っ赤なウソによって、審査経過に疑問が持たれることになってしまった。田母神氏の最優秀賞が工作によって仕組まれたものではないか、という見方を広めてしまったのだ。

 この秘書の罪は重いのだが、中山議員からはこちらに何も話がない。政治問題化してしまったから、議員と秘書が一緒になって「保身」を決め込んだのだろう。で、まず『サンデー毎日』11月23日号だが、ここからは取材はなかった。しかるに、なんと見出しは「またもや防衛省のトンデモ不祥事、前空幕長とアパグループ代表の『イーグル疑惑』、癒着の点と線」とある。論文募集を企画したアパグループの元谷外志雄代表が昨年8月小松基地でF-15(イーグル)に試乗したことを取り上げ、今回の懸賞論文への賞金300万円は、その見返りとして贈られたものだ、といった調子の記事だ。

 これは審査委員の1人として厳重に抗議せねばなるまい。「見返り工作」に加担したといわれているのと同じだからだ。ここまで「ヨタ話」を作り上げることができる能力はたいしたものだが、週刊誌の「劣化」を示す好例かもしれない。田母神氏が小松基地友の会会長の元谷氏のF-15試乗を認めたのは、その宣伝効果を見極めた結果にほかならない。民間人を戦闘機に乗せる以上、最大の効果がなくては意味がない。それだけの話である。(つづく)
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