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2008-10-03 04:57

(連載)東アジア・シンクタンク・ネットワーク6年間の歩みを評価する(1)

石垣泰司  東海大学法科大学院非常勤教授
  9月19日開かれた東アジア共同体評議会第28回政策本会議に出席し、8月24日~25日にインドネシアのバリ島で開催された第6回東アジア・シンクタンク・ネットワーク(NEAT)の年次総会に関する報告を聞いて、NEATが曲折を経ながらも着実に成長していることを知り、以前その運営に多少関わった者として意を強くした。NEATは、ASEAN+3の政府レベル合意から生まれたセカンド・トラックの組織である。東アジア共同体構築に向けて動いている多数の地域協力関係組織の1つにすぎないが、その歩みは、ASEAN+3の関係者の多様な利害や思惑も微妙にからみ、東アジア共同体構築のミニ・エクササイズ的様相を呈することもあり、興味深い側面も覗かせている。

  NEATは、設立総会(2003年)を北京、第2回年次総会(2004年)をバンコクで開催した創設期は、中国の意向が組織の運営に影を落とし、一時は中国に拠点を置く組織となる可能性もありえたが、日本の強力な主張に中国が(賢明にも)同意し、事務局や専務理事などの常設的拠点(当初いずれも北京、中国人が想定されていた)は当面置くことなく、毎年の年次総会を主催する国がローテーションで等しく役割を果たすことになった。以後、民主的に運営される国際組織となり、今日に至っている。基本的な運営規則も日本が深く関与して第2回年次総会の折りに採択された。

  2005年東京で開催された第3回年次総会以降は、加盟国(これまでのところ、日本、中国、マレーシア、シンガポール、韓国、フィリピン、タイ、インドネシア等)の自発的申し出により、各国の主宰する複数のテーマ(「投資」「貿易」「環境」「エネルギー」「非伝統的安全保障」等)別の作業部会(WG)が組織され、第3回(東京)以降の年次総会にその成果が報告されている。第3回年次総会においては、日本がこれら複数のWGの報告を踏まえて起草した「政策提言」案(東アジア共同体構築に向けた理念・原則等も盛り込んでいた)が採択され、これが同年末にクアラルンプールで開催された「ASEAN+3サミット」に提出され、評価されたことにより、爾来NEATの「政策提言」は毎年の「ASEAN+3」首脳レベルでテークノートされることが慣行として確立した。(つづく)
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