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2008-07-31 14:03

(連載)平和と安全保障に関する発想転換を急げ(3)

神谷万丈  防衛大学校教授
 最近、国際社会では、国際平和協力の現場において日本の姿がほとんど見えない、ことへの不満といらだちが高まっている。アフガニスタンでの平和構築努力に日本が自衛隊を派遣していないのは、国際的な対テロ活動への日本の「ただ乗り」だという批判さえ、決して稀ではない。最近、日本を訪れた欧州社会党の政治家グループも、日本はなぜ憲法第9条を改正して平和構築に積極的に参加しないのかと、私を詰問したほどである。
 
 日本では、護憲派はむろん、改憲派もその多くは、「軍隊とは戦うためにある」のだという、古い軍事力観から脱却できていないのではないか。最近、国際社会における日本の存在感の低下が問題になることが多いが、新たな軍事力の役割の認識に基づいた、新たな平和観、安全保障観を日本社会に一刻も早く根づかせなければ、日本は、口先だけの平和国家として国際社会から相手にされなくなる。今回の会議を通じて、そのような思いを新たにした。
 
 最後に、付言したい。平和構築などの新たな国際平和活動は、軍事力だけでは成功し得ない。非軍事的要員の役割が決定的に重要であり、軍事力は、むしろそれを補助する存在だとさえ言える。非軍事的要員の中で、近年重要性が高まっているのが文民警官である。政府機能が破綻した国での治安の維持に、文民警官は軍隊とともに不可欠の役割を果たす。
 
 にもかかわらず、日本の警察は、カンボジアでの不幸な殉職後、文民警官の国際平和活動への派遣には一貫して後ろ向きである。この姿勢にも、国際的な批判が強まっていることを、警察関係者は厳に認識せねばなるまい。(おわり)
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