国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2008-03-28 13:04

(連載)ERIAとCEACの相互補完関係発展を期待する(1)

池尾愛子  早稲田大学教授
 3月4日に Economic Research Institute for ASEAN & East Asia (ERIA)の正式設立の承認を記念する東京フォーラム「世界最大ビジネス空間の創造」が開催された。ERIAは、ASEAN10カ国と中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、日本の6カ国の計16カ国の研究機関が関与する経済研究センターであり、「東アジア経済統合推進に向け政策提言を行っていくシンクタンク」だ。日本からはアジア経済研究所(IDE)と日本貿易振興機構(JETRO)が関与するなど、研究機関の連合体となっている。ERIAは、2007年1月の第2回東アジアサミット(セブ)で日本政府が提案し、11月の第3回同サミット(シンガポール)で正式にその設立が承認された。JETROが、ERIAの正式設立までの事務局として、他の研究機関やASEAN事務局との調整に当たってきた(アジア経済研究所ホームページ http://www.ide.go.jp/)。

 今回の東京フォーラムは、福田総理大臣の開会挨拶に始まり、甘利経済産業大臣、木村外務副大臣、ピッスワンASEAN事務総長の基調講演が続き、日本政府とASEANに、ERIAの研究活動を通じて東アジア経済統合を積極的に推進していく強い意気込みがあることを感じさせた。さらに、御手洗経団連会長の特別講演、グリア経済協力開発機構(OECD)事務総長のビデオ・メッセージが添えられ、出席者も500名を超え、ERIAの研究活動に寄せられる期待と関心の大きさをうかがわせた(日本経済新聞3月27日付朝刊「ERIA東京フォーラム特集」)。

 ERIA設立準備の研究活動は既に軌道に乗っている。東京フォーラムにおいても「東アジア経済統合に向けたロードマップ」の英文草稿が配布され、ERIA設立準備の活動に参加している研究者たちによって、政策アジェンダ研究の進行状況が披露された。ERIAに関係している研究者から「東アジア共同体の参加者をASEANプラス6にすることを前提にしているわけではありません」との説明を受けたとはいえ、東アジアの政策アジェンダを考える研究活動にオーストラリア、ニュージーランドやインドが加わることは大変好ましい。経済活動は国境も地域の境も越えてグローバルに継ぎ目なく(シームレスに)展開されている。特定の地域にのみ都合のよさそうな政策を(長期間)採用することはかえって不利益が大きくなると推測され、政策提案にはグローバルな視点が欠かせない。実際のところ、3ヵ国の研究者たちの参加により、ERIAの研究水準は格段に向上するだろう。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会