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2026-02-07 15:38

(連載1)2つの力技ディール

岡本 裕明 海外事業経営者
 曲がりなりにも経営者として日々葛藤する中で次元が全く違うディールを見ると自分の仕事はずいぶんちっぽけなものだと感じてしまいます。特に北米にいると大型ディールが頻繁に起こり、弱肉強食というよりも強い者同士ががっぷり四つとなり、相手を倒すのではなく、双方が相乗効果を目指して誰も追いつけないようなレベルになる、そんな世界をずっと見ています。今日ご紹介したい2つのディール、その主はトランプ氏とマスク氏であります。まずトランプ氏のディールです。

 実は私は半年程度月前から原油にご執心であり、原油関連の株にもそれなりに投資をさせて頂いています。あの当時、マーケットは下値模索でした。理由はOPEC+が増産の手を緩めず、世界需要に対して供給が多すぎるという懸念であります。しかし、私が見たのはそれはごく短期的な視点であり、原油の心地よい相場は70㌦台、アメリカはシェールオイルを新規開発するなら少なくとも60ドル台後半でないと投資家が誰も金を出さないという前提を考えると50㌦台は大バーゲンに見えたのです。

 ご承知の通り物価はなんでもどんどん上がりました。特にコモディティは例外なく何倍かに価格上昇したのです。とするならば原油だけが取り残されることはおかしい、こう考えていたのです。トランプ氏も同じ考えを持っていたはずです。ここからが氏の力技です。ベネズエラをまず押さえます。次いでイランを威嚇します。3つ目にインドにロシアからの原油を買わせないディールをします。こうなると世界で算出される原油に色がつくのです。あてにできる原油とできない原油です。当然原油市場は引き締まります。ここでOPEC+が増産を止めたのです。価格がピックアップしてきたので増産を止めるのです。考え方が真逆ですね。アラブの金持ちの発想でしょうか。

 仮に原油がこのまま60㌦台から70㌦近辺まで上がるトレンドになるとします。アメリカにもたらすメリットは莫大です。まずベネズエラ産の高コストの原油の採算性が改善します。アメリカ国内のシェールオイルもリグ数が増えるかもしれません。そして大消費国家中国が原油の手当てで苦しむかもしれません。ロシア産はインド振り向け分を中国に振り向ければいいじゃないか、と思うかもしれませんがトランプ氏はそうさせないはずです。お隣を貧しくして自分が富む経済用語で近隣窮乏化政策というのがありますが、トランプ氏は「敵国窮乏化政策」を通じてアメリカの利益を極大化する、こう仕向けているとみています。(つづく)
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