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2022-12-15 10:12

中国共産党の新体制と高まる台湾危機のリスク

鈴木 馨佑 衆議院議員
 中国共産党の習近平総書記体制の三期目の人事が決定しました。きちんとした分析を今後行わねばなりませんが、様々な意味で非常にリスクが高い人事になった、というのが正直な印象です。胡春華氏をはじめ、異なるバックグラウンドのリーダー候補を外し、執行部を自分に近い人間だけで固めた今回の人事は、短期的には習近平総書記にとって「やりやすい」体制となるのでしょうが、中長期的にはむしろリスクを高めるものと思われます。
 
 まず、集団指導体制から実質の独裁への移行が明らかになったことで、人口減少がはじまり、経済成長もあまり望めなくなる今後の時期にあって、様々な国民の不満や失政の責任が習近平総書記に集中的に向かうこととなります。また共青団や上海閥など他のグループを排除したことで、これまでの政争や粛清による蓄積されている党内の不満がさらに溜まることが容易に予想されます。まさにその意味で、習近平総書記にとって失脚や暗殺のリスクが相当程度大きくなった。いわば習近平氏が今回の人事で自らの意向を通しやすい体制を手に入れたのと引き換えに、「自らを追い込んだ」人事と言えます。
 
 そして、このことは台湾海峡、あるいは台湾有事が発生する可能性にも密接に相関します。意思決定者が事実上、習近平総書記という状況の中で、日米との軍事衝突の可能性が高く失敗のリスク(=失脚のリスク)がかなりある「台湾侵略」というギャンブルに習氏が出るケースというのは、そのリスクを上回るだけの理由がある場合です。それはすなわち、①自らの政治生命あるいは生命の危機を挽回する、あるいは、②危機的状況に追い込まれる前に回避する、という動機がある場面の可能性が高い。今回の人事を冷静に見れば、その意味で結果的に習近平氏が「自らを追い込んだ」人事となったわけであり、それはすなわち習氏が「台湾侵略」の決断をせざるを得ない国内政治環境になる可能性が高まった、ということでもあります。
 
 今回の新たな状況を受け、わが国としては、今まで以上に、台湾、そして同盟国アメリカをはじめとする価値や利害を共有する国々と実質的な連携を速やかに深めていく必要があります。与党の一員として、外務副大臣経験者として全力を尽くしてまいります。
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