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2022-05-24 23:19

(連載1)マルコスJr.政権樹立でフィリピンどう変わる

岡本 裕明 海外事業経営者
 フィリピンのマルコス氏の時代と言えばあまりにも古すぎて忘れている人も多いでしょう。1965年末から1986年初頭までの20年間大統領を務め、独裁者として君臨しました。その息子が今回の同国の大統領選で圧勝し、マルコスの名が国際舞台に帰ってきます。2016年にやはり強硬的でフィリピンのトランプ氏と言われたドゥテルテ大統領を選んだ国です。トランプ氏よりドゥテルテ氏が先に大統領になっているので正確には「トランプ氏はアメリカのドゥテルテ氏」と表現されるべきなのでしょうが、それはともかく、「フィリピンの方は過激がお好き」ということなのでしょうか。
 
 なぜ、あまり評判が良くなかったマルコス氏の息子が大統領選に圧勝できたか、その分析の一つとして、有権者の平均年齢が25歳とあまりにも若い点が挙げられています。そうだとすれば多くの有権者はマルコス氏(父)の存在すら知らないわけで、そうなればどんな話でも創作し、切り貼りしやすい環境といえます。それをフィリピン人も大好きなSNSで発信すれば「そうなんだ」と信用させるにはたやすいのでしょう。ただ、選挙結果の分析を見ると必ずしも若い人ばかりではなく、マルコス(父)の独裁時代を知っている年齢層も一定の支持をしているとされます。とすればフィリピンは「すがれる大物」が好まれるようにも見えます。ところが、マルコスJr.氏の手腕は、といえば選挙戦も際も政策論争を避けてきたとされ、よくわからないというのが実情ではないでしょうか。わからなくても「大丈夫だよ、お父さんがあんな人だったから」というのはいかにもフィリピン人らしい性善説のようにも見えます。
 
 ところで東南アジア経済に陽が昇る中でフィリピンは長年、比較的違う扱いになってきています。大陸の各国、ベトナム、マレーシア、タイ、シンガポールから徐々に内陸の国々に経済波及が進む感じですが、フィリピンは昔からかつてのフィリピンのままであるイメージが強いと思います。
 
 フィリピンの最大の特徴は他の東南アジア国と違い、キリスト教(カトリック)の国である点です。敬虔なるカトリックである点はよいのですが、個人的に抱くイメージは多くのフィリピン人の緩い生活感で「苦しい時の神頼み」のように教会で拝んでいる感じなのです。仏教国の方はまじめで物事への取り組み方もしっかりしており、積み上げという発想があります。ですが、フィリピンの方は気候も良いせいか、ヤシの木の下で寝そべり、腹が減れば木を揺らせば果物が落ちてくる、という絵図が頭に浮かびます。つまり他力本願。なので強い人にまかれろ、的な思想はあるのでしょう。(つづく)
 
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