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2021-11-15 19:03

(連載1)世界の物流混乱と日本経済、そして中国本土経済について

真田 幸光 大学教員
 世界経済情勢に関しては、原油高、食糧価格高、人手不足、電力不足、半導体不足、金利上昇などと共に、コンテナ不足を背景とした物流の混乱も続き、懸念材料が多いと指摘されています。そして、最近では、不況下での物価上昇と言う、「スタグフレーション」を指摘する声も出始めています。
 
 こうした中、11月ともなると、キリスト教徒を軸にして、欧州の人々の最大の関心事であろうことの一つは、「クリスマスをきちんと穏やかに過ごすことができるかどうか。」ということになりましょうが、最近の世界的な物流の混乱がクリスマスまで続くと、クリスマスに食卓に並ぶ食べ物、やりとりするプレゼントは大丈夫か?もしも物流混乱が続けばクリスマスの時期にはスーパーマーケットに行っても陳列台が空いている、ガソリンスタンドにはガソリンがないなどということにならないかとの不安の声も既に聞かれるようになっています。世界で、物流の混乱には大きな懸念が示されているようであり、EUを離脱した英国などは、大陸欧州からのトラック運転手が英国に入ってきにくくなり、更に、不安の声が高まっているようであります。
 
 また、日本の中央銀行である日本銀行は、本年9月下旬の政策会議の議事録を発表しました。当該議事録によると、一部の日銀当局者は、原材料の上昇が個人消費に与える影響を懸念していたと報告されています。原油やその他のエネルギー価格の上昇を反映して、生産コストや諸物価が上昇する可能性があることも指摘されています。更に、また別の日銀幹部の中には、エネルギー価格と原材料価格の上昇が、食料を含む日用品やサービスの価格に与える影響について警告もしました。これらの価格は、更に消費行動に影響を与える可能性もあり、動向を監視する必要があるともしています。
 
 そしてまた、企業がこうしたコスト上昇を消費者に対する価格に転嫁できなければ、企業の利益率は悪化し、また設備投資や人件費を抑える行動に出る可能性があるとの見方も出ています。更にまた、給与水準に伸びが見られず、収入が停滞している個人世帯の状況を見ていると、今後は日本経済の約六割を支える民間消費、個人消費に少なからぬ悪影響を与えるであろうとのコメントも出ています。(つづく)
 
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