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2020-09-02 07:51

日本人の陰徳

中山 太郎 非営利団体非常勤職員
 知人が「お前の書くことはどちらかと言えばネガチブなことが多い。『日本素晴らしい、日本世界一』などと他のテーマがタネ切れなのか、最近テレビが良く特集をやっているが、そこまでいかなくともお前が経験した日本の良い面もあったらその経験も少し書いたらどうだ」、とやかましい。確かにインテリと称する人たちは、日本ダメと言う自虐的な言動が多い。筆者は、自分はインテリとは決して思わないしそのグループに入りたくもない。子供時代思い出すのは、東京裁判の初日、唯一戦犯として裁判の対象となったインテリの大川周明が、東条英機の頭をぴしゃりとやったことだ。精神異常者として彼は裁判の対象から外された。ニュース映画で繰り返し見た。子供心にインテリのひ弱さ、卑怯さを垣間見た気がした。

 ブッシュ(父親)大統領時代の湾岸戦争の際、日本は一人当たり120米ドルという巨額の資金を供出したが、クウェート政府が戦争終結後に世界の新聞で感謝の広告を出したとき、日本の名前が外されていた。やはり金だけではダメで、血も汗も流さなければ世界から相手にされない、などと騒がしかった。後から調べると、この謝礼広告を受け持った米の会社の担当が、度忘れして日本の名前を入れなかったに過ぎなかった。今のクウェートの博物館展示では、しっかりと日本の協力支援に触れている。また、野党や世論の口うるさい猛反対の中で、掃海艇を出し、犠牲者も出ている。愛国を売り物に、「正論」を安全地帯の日本から主張し、自分の本が売れればよいとのインテリたちの姿にウンザリもする。
 
 以上のようなことを、海外の気楽な友人たちとの会話で話していた際、あるフランス人から言われたのは、「日本人は国際貢献が少ない」「まだ世界の田舎者だ」と卑下するが、この本を見ろと国連の出した何冊かの出版物を持ち出してきて、その冒頭に「ATSUに捧ぐ」とあるのを指さた。これは、日本人はあまり知らないが、中田厚仁君という日本の若者が国際連合ボランティア活動の一環として、1993年のカンボジアにおける総選挙の選挙監視の活動中に過激派により殺害され、彼の名前を記念して献辞の書き込みをされたものだ。

 彼も立派だったが、彼の父親もその息子の死を知らされ、ちょうど仕事の関係で日本で新幹線の中だったが、その一報を受けると冷静に、「身を犠牲にしても、やるべきことを息子はやったのだ」と答えたそうだ。これはその一報を伝えた人間からじかに聞いた。父は、息子の意思を継ぎ、勤めていた商社をきっぱりと止め、国際的なボランティアの色々な組織の支援に余生を過ごされた。
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