１０月１日は日本国内においては消費税率の１０％への引き上げが注目されたところですが、外国のメディアにおいては、中国共産党の支配する中華人民共和国の成立７０周年に注目が集まりました。軍事パレードで公開された大陸間弾道ミサイル「東風－４１（ＤＦ－４１）」などの最新の大量破壊兵器や攻撃能力の高い兵器は、東アジア地域の平和と安定に大きな脅威となりうる中国のＡ２ＡＤ（接近阻止・領域拒否）戦略に向けた大きな一歩となりうるものであり、地域に与える地政学的なインパクトは極めて大きなものがあります。
 
　また香港で繰り広げられるデモにおいては、参加していた１８歳の青年が警官隊に銃撃されるなど、老若男女多数に被害が及び、またデモ隊のマスクの着用を禁じる緊急条例（行政長官が議会の手続きを経ずに定めることができる規則）が制定されました。イギリスとの間で約束された一国二制度の下で「高度な自治」が５０年間維持されるはずの国際金融都市香港。ここにおいてもその約束が完全に骨抜きにされようとしていると判断せざるを得ないような事態が進んでいます。天安門の悲劇から３０年が経ち、依然として変わっていない中国共産党の本質が垣間見られる状況に、世界の注目が集まっています。
 
　自由、民主主義、人権、法の支配をはじめとする「共通の価値」を外交の基軸とする我が国としても、香港の市民のデモを警察が攻撃する現在の状況は非常に憂慮せざるを得ないものです。また言うまでもないことながら、我が国の尖閣諸島の周辺海域における中国公船の侵犯事案や東シナ海のガス田における動きなど、中国による我が国の主権の不当な侵害は依然として続いていて収束の気配がありません。先日も、日米同盟以上の緊密な関係を「血の同盟」ともいわれる中朝友好協力相互援助条約により中国との間で堅持している北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、約二年ぶりに日本の排他的経済水域内に落下しました。
 
　まさに我が国を取り巻く地政学的な情勢は厳しさを増しています。外務副大臣として、こうした状況をしっかりと注視しながら、国益を守るべく全力で頑張ってまいりたいと思います。