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2019-06-13 12:48

対中外交への一つの見方

中山 太郎 非営利団体非常勤職員
 中国の友人が教えてくれたのだが、今、対日歴史問題で、中国で一つの記事が注目を集めている。米国聖公会マギー牧師が自ら撮影した南京事件のフイルムの話だ。これは、中国学者がイエールの神学大学院から無償で入手したものだそうだ。中国の学者にとっても、数多くの初めて見る残虐なシーンがあると記事は述べている。今、日中は雪解けムードで首脳交流もできそうな雰囲気だが、一方負の部分は相変わらずだ。

 尖閣への中国船舶の領海侵犯は相変わらず続いている。大国中国の国内の意見統一の難しさもあるのだろう。指導部としても、不満分子を宥める一手段でもあろう。先般安倍首相は、中国の「一帯一路」に協力する旨述べている。日本は生存のためには、単細胞的な、白か黒かの短絡的な道を取るべきではないのだ。かって中国で仕事をしていたころ、よく日本の愛国を名乗る人が、安全地帯の日本で中国が如何に歪んでおり異形な姿かをよく声高に述べたりしたのをみた。

 どこの国でもそうだが、現地のマスコミは、面白そうなところだけ掬い取って報道する。中国社会でもあった。それへの反発が起こるということがよくあった。そのとばっちりで現地の学校へ通う日本人児童が、クラスメートから虐められるということもあった。勿論、ほとんどの場合、先生や学校側がそうした児童を庇い、いじめる子を説得してくれた記憶がある。米の対中批判を細かく見ると、中国政府、中国共産党を責めるのであって、決して中国人を対象にしているのではない文章になっている。日本は、対中関係で、用心深く、しかし生存のためには、必要な場合には協力していくのが正解だ。どこの国でもそうだが、自分の国に都合の良い部分だけを歴史として残したい思いがあろう。しかし、そうした中でも、少しでも実情に合った歴史を、後代へ伝えてゆくのも我々の任務でもあろう。

 我々は、生の文献をあまり見ないで、何かに引用された断片だけを取り上げ歴史を判断する場合が多い。幕末維新の壮絶な、生きるか死ぬかの自分の意見主張を通じさせるための生きざまはよく知られているが、明治の外交においてもそうだったことが、国立図書館で林権助の回顧録を読んで実感した。彼は、日韓併合への足掛かりとなった日韓協約をまとめた外交官として知られているが、その協約を纏める時の明治の元勲のドスのきいた言葉に圧倒される。如何に弱国の指導部はダメかも良く分かるし、外交は真に「生きるか死ぬかのやり取り」かということも分かる。
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