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2018-10-22 12:30

「日本はガチンコ外交に備えよ」を読んで思う

中山 太郎  非営利団体非常勤職員
 10月18日付の本欄への岡本裕明氏の投稿「日本はガチンコ外交に備えよ」を読み、一言述べる。同氏は外交を、野球に例えれば直球、正攻法で勝負せよ言っているように見受けられる。私は、緩いカーブを投げたり、間合いを十分に取り相手をじらせたり、みているほうはスカッとしない様々な手法も大事で、国民もそれを理解できることが必要だと考える。思い起こせば、1937年に日本は「日独伊三国防共協定」を結び、昇竜の勢いだったドイツと手を結び、当時日本にとり最大の敵だったソ連を抑えれると考えた。ドイツはヨーロッパ諸国を電撃攻撃で、フランスまで降伏させた。今から見るとこの後、ドイツの動きはとん挫してしまった。じっくりと国際情勢をみきわめてもよかったのだ。日本が39年にソ連とノモンハンで悪戦中に、8月にドイツは突如「独ソ不可侵条約」を締結し日本を裏切ったのだ。

 外交は、最終的には国と国民を守るのが基本だ。目の前の格好良さなどにとらわれると大変なことになることは、第二次大戦の苦い経験から学んだことだ。今月26日に安倍総理は訪中し、日中平和友好条約締結40周年記念の会談を習近平と行う。この条約の締結時に、日本が苦慮したことは、中国が突き付けてきた「対ソ連敵対宣言」、すなわち「覇権条項」だ。ワーデングをソフトにしたりして、何とか締結にこぎつけた。それが、その後80年代の日中関係友好の黄金時代につながったとも言われる。ソ連は、今や中国の最大の友好国だ。まさに昨日の敵は今日の友である。千変万化するのが国際情勢だ。世界情勢の隅々に目を光らせじっくりと見ていくことが大事なのだ。

 10月上旬の中国の報道によれば、中国南部の厦門で、中国と台湾の関係者による尖閣諸島についての会議が紹介されている。会議では、「尖閣の主権が中国に属すること、歴史的、地理的、法律的にそれは十分な根拠がある」、「ハーグの仲裁裁判所の国連海洋法条約の解釈には誤りがある」、「ウィーン条約及び国連海洋法条約の関連規定とも矛盾する」などと述べている。米国は今、トランプ大統領が中国へ貿易戦争を仕掛けているが、日本のマスコミは、それがサイバー戦争など全分野に及び中国が崩壊するまで続くなど大はしゃぎだ。私の米国の知人は、中国が本当にぽしゃると、米だけでなく日本、西欧も打撃を受けるだろうし、米企業は中国に多大な利権を持ち、長い目で見れば、米の先鋭度合いも鈍ってゆくと見ている。また彼は、この6月米の大使館に当たる在台湾協会(AIT)の台北事務所の豪華な新庁舎が、米国国務省次官補を派遣し華々しく披露されたが、その後は、実際には機能していないことについて、対中配慮だと述べていた。

 安倍外交は全世界に目を向け奮闘中だ。在バチカン大使には、職業外交官ではなく、経団連副会長だった中村氏を充てている。2014年に安倍総理はバチカンで、フランシスコ法王に謁見し、日本訪問を要請した。カトリック教徒の知人の話では、法王は、今年乃至は明年の訪日を望んでいるそうだ。本年の新年の説話で米の写真家が原爆投下の後しばらくのちに長崎で撮影した「焼き場に立つ少年」の写真を信者に配布し、原爆の悲惨さ、世界平和の大切さを訴えたそうだ。ごく最近文韓国大統領も謁見し、金正恩からの訪問要請を伝え、法王は乗り気だったようだ。
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