国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2018-10-18 10:30

(連載2)日本はガチンコ外交に備えよ

岡本 裕明  海外事業経営者
 日本の外交や通商交渉はなぜ、ガチンコ勝負ができないのでしょうか?個人的には交渉官の腹づもりではないかと思います。外交官にしろ、通商交渉団にしろほぼ全員役人です。彼ら役員は首にもならないし、キャリアに傷もつきにくいシステムになっています。言い換えれば「乗り切れば」良いわけです。この「乗り切る」というのは流れに沿ってうまく講じるという意味であり、主義主張を何が何でも通す、というスタンスにはなりません。

 また、日本のキャリア役人は数年で転勤するという仕組みがあります。つまり、専門官はいてもその指揮者は毎度変わるわけでそのたびに作戦と攻め方は変わってしまいます。私はそうではなくて大型交渉は信賞必罰のチーム制にすべきではないかと考えています。もちろん、そのトップである担当大臣の首を含めて、という意味であります。これぐらいの迫力あるチーム編成にしないと外交などやっていられません。

 「脱退やむなし」と叫ぶのは喧嘩する相手に「訴訟するぞ」という言っているようなものです。相手は「ご自由に」というはずです。そんなことは相手にとって痛くもかゆくもないからであります。つまり、喧嘩における訴訟も国際交渉における脱退もそれを言った時点で「負け」であります。その国際感覚を日本人はもう少し磨いてもらいたいと思いますし、交渉官は気構えを持つべきだろうと思います。

 特に私が耳にするのは「次から次へと案件があるのにこの案件まで手が回らない」というボヤキであります。日本政府が真剣勝負をするような案件なら担当チームは通常業務から引き抜くぐらいの覚悟とスタッフの体制の強化をすべきでしょう。かつて、「日本には役人が多い、少ない」という議論がありました。国際水準からすると絶対人数はるかに少ないのですが、できる人間もはるかに少ないと思います。役人がプロ意識をもって交渉にあたる心構えが必要だと切に感じています。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会