国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2018-09-07 11:19

危機に瀕する中国経済

赤峰 和彦  自営業
 米中間の経済摩擦が激しさを増す中、中国は今後どのようになるのか。朝日新聞は「世界恐慌の引き金を引く危険すらある」「戦争に突入する危険も」として「愚かで危険な米中『貿易戦争』を止めよ」と報じています。中国の窮状を朝日新聞が代弁せざるを得ないほど中国経済はひっ迫しています。中国は国家戦略として統計数字を操作し経済大国を装っています。しかし、2015年の中国株大暴落を発端にバブル経済は崩壊し、政府による市場介入の効果もなく急速に減退しています。この影響で、富裕層の所得の伸びが止まり、家賃などの家計債務の圧迫で消費意欲が低下している状況です。また、特別引き出し権(SDR)の構成通貨の人民元が実際には市場での信用を失い、海外に資本が流出し始めています。富裕層の間では保有資産を守るために仮想通貨を経由してドルに移す動きも出ています。この先アメリカによる経済制裁が一層強まれば、中国経済の破綻が現実のものとなるのは時間の問題と言えます。

 毎年夏に党指導部や長老らが集い人事や重要政策について議論する北戴河会議に、序列5位の王滬寧氏の姿がないため、失脚したのではないかとの噂がありましたが、実際には米中の貿易対策のために会議に出なかったようです。習政権は強気の構えですが有効な対抗策はありません。「一帯一路計画」もほとんど機能せず、これまで援助してきた発展途上国から債務の踏み倒しも始まり資金の回収が見込めなくなっています。また、中国の軍事力増強が伝えられていますが、米中の軍事力には圧倒的な差があり、こうした中国の虚勢は何の役にも立ちません。

 今でさえ中国国民の7割が中国共産党政権に不満を持っている状況下で、アメリカの経済制裁が直接的に国民の生活レベルに影響が及ぶと、今まで以上に国民の不満が高まることになります。歴代王朝がことごとく農民などの反乱によって崩壊したように、反政府運動が中国の至るところで発生すると予想されます。また、最近頻繁に起きている人民解放軍の退役軍人による反政府デモは、「現役の人民解放軍の軍人が中国政府を守らない」ことを意味しています。その理由の一つには、従来から軍の内部ではびこっていた汚職行為が、習政権が推し進める「汚職追放による軍事改革」によって断ち切られ、締め付けが強まったため軍人の不満が鬱積していることにあります。彼らはもともと国家の防衛のことよりも自分の保身や私腹を肥やすことのほうが大切だからです。

 2017年10月の党大会で絶対的権力を手にした習近平主席であっても、国民の総反発と軍の離反で失脚の可能性もありえます。後継は権力志向の強い胡春華氏と見られており、今後国内の取り締まりは一層強硬なものになると思われます。そうなると、国内は一層混沌となり、政府の威令がどこにも及ばない状況になりそうです。政府の威令の源泉はお金です。アジア大会での中国選手の士気は多額の報奨金によって保たれています。しかし、国家財政の悪化に伴い選手の士気は極端に落ちます。これと同様に、国策で資金を投入されていたところは資金が断たれれば衰退し、その結果、国家としての威信が保てなくなります。それが事実上の共産党政権崩壊の引き金となる可能性が高いのです。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会