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2007-03-19 15:43

在日外国人社会の課題

四条秀雄  不動産業
 私は、移出国母国での日本語の習得を条件に外国人労働者受入れ賛成派ですが、現在の在日外国人社会のあり方に関していくつかの点を指摘したいと思います。

(1)富山や新潟には、パキスタン人やロシア人の中古車産業に依存した在日外国人社会が存在していますが、日本の少子高齢化を背景とした中古車の量的質的縮小は、これらの社会の経済的基盤をじょじょに不安定化させていくでしょう。中古車の供給減少に伴って、経済犯罪の増加が予想されますので、今のうちにこれらの在日社会に対して職業の多様化などを誘導していくべきではないでしょうか?これは、もちろんパキスタン人、ロシア人の在日社会に限ったことではありません。

(2)ニューカマーと言われる1990年代以降の新しい在日外国人の増加は、日本社会におけるオールドカマーとしての在日韓国・朝鮮人社会の存在を否応なく相対化していきます。日本への同化を真剣に考えるべき時期に来ているのではないでしょうか?

(3)私が非常な危惧を感じているのは、中国人の急激な増加が続いていることです。

(4)南米系の在日外国人社会は移民2世問題を考える時期に入ってきています。いろいろな問題が噴出し始めていますが、過去のオールドカマーの時の経験も取り込んで、先んじて対処すべきだと思います。

(5)在日米英人社会は、日本との文化的な相違がとても大きいために、日本人が彼らとの約束を破ることに大きなショックを受けるようです。日本人は約束を破らないし、米英に逆らうこともない、という幻想が破れると、バックアップサポートが何も無いパニック状態に陥ります。戦前の満鉄共同経営破綻が米英との衝突の遠因になったことや、今回の慰安婦問題の背景にも戦後期の約束破りへの怨恨があると言われています。異文化間の約束破りはショックが大きいということをしっかりと認識し、また何らかのバックアップシステムを作らないといけないと思います。

(6)外国人労働者受入れを2国間協定で行った場合の相手国へのインパクトの大きさを自覚した方が良いと思います。たとえば、モンゴルとの間で2国間協定で労働力受入れを行った場合、受入れ枠の規模によっては30年ほどでモンゴルの全人口を受け入れることが可能なわけで、逆に言うと一世代のうちにモンゴル経済を先進国水準まで引き上げることが可能になるわけです。実際には、そういうことは起こりえませんが、人口の小さな国に対しては相当な影響を与えることを自覚すべきだと思います。

(7)外国人の中には、日本語が上達するグループが特徴的に存在することにも留意すべきだと思います。何度も繰り返していますが、韓国・朝鮮、モンゴル、中央アジア、南アジア、トルコ・イラン、それからロシア・スラブ系の人々、それから意外なことに南米のインディアン系の人々です。これらの人々はかなり流暢に日本語を話します。

(8)移民問題解決の出口は、結局世代単位での教育を経た同化だと思います。新しく入ってくる人と、同化して出て行く人の差が、ストック・バッファ・バランスシートとして在日外国人社会を形成します。入ってくる圧力は常に大きいので、出口の能力が在日外国人社会の規模をコントロールする鍵になると思います。
 
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