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2017-09-07 14:24

(連載2)前原民進党代表は強烈なメッセージを打ち出せるか

児玉 克哉  社会貢献推進機構理事長
 前原代表は投票前の決意表明では、野党再編に向けて積極的な姿勢を打ち出している。前原氏は「私は他の勢力との連携や協力の可能性を排除しません。私たちの掲げる理念政策を高く掲げて皆さま方に協力をお願いします」と語っている。共産党を中心とした野党連合との連携も、小池新党との連携もオープンに対応していくということだろう。衆院小選挙区制の下では、選挙での「連携」が成功するのは例外的だ。自民党と公明党の「連携」は小党の公明党の抜群の組織力があってのことだ。前原民進党が「連携」できるのは共産を中心とした野党連合と小池新党になる。前原氏は共産との連携には慎重な姿勢を示しており、オープンに考えるといっても限定的だろう。本格的に行うとすれば小池新党との連携だろうが、実際には難しい。

 小池新党との連携が順調に行く可能性は低い。小池知事は前原民進党に対して、国会での政策協力について前向きな発言をしている。ただこれは、あくまで国会内での部分的な政策上の提携だ。選挙では民進党と小池新党は浮動票の奪い合いをせざるを得ずゼロサムに近い関係となる。「お互いに仲良く」連携して一緒に伸びるというシナリオはない。このままであれば次期衆院選では浮動票は小池新党に流れ民進党は大敗を喫す可能性が高い。前原氏が代表になったことで民進党を分裂させる核もなくなった。共産党との連携も小池新党との連携も中途半端になりそうだ。分裂もできず方向性が定まらない状態だ。「他の勢力との連携や協力の可能性を排除しない」というのは裏を返せば方向性が見えないということだ。私は、民進党が取るべき方向性は、民進党単独路線しなかないと考えている。

 民進党の政策には魅力がない。なぜなら党内に右も左も混在して、右にも左にも配慮していては、重要政策については曖昧な表現しかない。どこへ向かおうとしているのかわからないのだ。他党との連携ともなれば、ますます方向性を失う。しかも最大の「支援者」といえる浮動票層は、その「他党」と取り合いになるのだ。大きな方向性が描けないから、政権担当当時の民主党は高速道路の無料化や農家の戸別補償といった「小手先の政策」を目玉にするしかなかった。超目玉政策の事業仕分けも、方向性なき状態での導入であったから、結局はプラスよりマイナスの方が大きかったという評価をする人が多い。どれも現在では、話題にものぼらないものとなっている。「そういうのもあったな」というノスタルジックな感覚を覚える程度だ。

 安全保障政策はどうするのか、日本の次の時代の経済政策はどうするのか、などといった重要な政策には明確な方向性が今でもないといえる。「安倍政権の進める」憲法改正には反対、「安倍政権の進める」経済政策には反対、「安倍政権の進める」原発政策には反対、ということまでは主張できるが、その代替となる「民進党の進める」政策は曖昧にされたままだ。他党との連携よりも、魅力ある民進党の政策を打ち出して欲しい。その上で、嫌なら党から出て行け、くらいの強烈なメッセージを前原代表が打ち出せるかどうか。小泉純一郎氏は「自民党をぶっ壊す」という迫力で、疲弊しつつあった自民党の新たな展開を模索した。民進党は、「守り」の戦略で守れる状態ではない。新たな民進党を作るためにも、これまでの民主・民進党をぶっ壊す、という「攻め」の迫力がほしい。そうした新たな展開を期待したいが。(おわり)
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