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2017-07-11 21:24

最近のロシアを中心とした国際情勢について

中山 太郎  非営利団体非常勤職員
 香港の国際問題研究家が内話として次のように述べている。傾聴すべき意見だと思うので、紹介する。6月29、30日にモスクワで開催されたシンクタンクの会議「PRIMAKOV READING」に参加した。会議には、今年94才になる米のキッシンジャー博士が出てきて、米ロ関係は、長い年月の間良くなったり悪くなったりした。日露戦争の時には、米が日本に加勢したので、日本が勝ち、(米ロ関係は)悪くなり、第二次世界大戦当時は、良かったなどと述べた。

 会議にはプーチン第一の側近とも言われるYURI USHAKOVが冒頭のスピーチをするなど、ロシアでもポスト・プーチンに向け、少しずつ動きもあるように見えた。中国においても、習近平が今秋の党大会で、通常の2期合計10年のみでなくそれ以上の期間を担当するとの年当初にあった見方は、消えわからなくなった。専制国家中国の人気のなさは、中国が自国民と呼ぶ香港、台湾での状況を見れば一目瞭然だ。7月6日、ブリュッセルでの首脳会談で大枠合意された日・EU経済連携協定(EPA)は、世界最大級の経済規模を誇るもので、両者の間で、多くの関税の撤廃が行われる。勿論、細かい詰めにまでは若干の時間はかかるだろうが、世界の関心を集めた。最近は日本について無関心な米紙「ニューヨークタイムズ」の一面でも大きく取り上げられ、米国での強い関心がうかがわれる。

 しかしながら、物事には何事でもよい面と悪い面がある。一部米国人の反感を買ったことに、日本人は気をつけねばならない。EU側では、メルケル独首相が、G20首脳会議前の大枠合意へ発破をかけたとも聞く。米のトランプ大統領への当てつけだ。西欧各国は、駄々っ子のような、トランプ政権に対し、怒ったり驚いたりの振りをしているが、実際にはもはや米がなんでも口出しする代わりに、よく面倒を見てくれた良き時代は去ったのだと達観しているやに見える。独の研究者が、日本はメルケル首相が11回以上も訪中しているのに訪日はG7などでの1~2回などと非難するが、安倍総理はプーチンと18回以上も会っている。日本は、独はじめ西欧諸国が中国の覇権主義的な態度にあまりにも留意しないと責めるが、日本もロシアのそうした態度に反発しないのではないのかと述べていた。

 彼は、ロシアは中国との関係強化、その活用を第一にしており、日本の希望する領土の割譲などのラインには乗ってこないのではないか、勿論、ロシアは、中国の弟分になることは絶対認めないし、常に独自の立場を取ろうとするだろう。これからの国際情勢は、米はあまり頼りにならず、EUも中々意見の統一が難しい。その一例が、南シナ海問題での国際仲裁裁判所判決にEUの意見表明が遅れ、世界でのインパクトが薄れたことがあげられる。EUの中には、個別に対ロシア接近を図っているところもあるようだ。一方、ASEAN各国のエリート層は、やはり自由、国際法を守ることをベースに米との関係維持に努め、南シナ海問題では大波が起こらないよう気を配っている。そうした意味からも、ASEAN各国での日本、EUに対する人気、期待は大きい。彼らが、恐れるのは、ジャイアン的な米中両国のはざまに置かれ、彼らからどちらを選ぶのかといわれることだ。
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