国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2017-05-08 18:13

(連載1)日本が存在感をみせて北朝鮮危機の収束を

児玉 克哉  社会貢献推進機構理事長
  安倍晋三首相は4月27日、ロシアのプーチン大統領とモスクワのクレムリンで会談した。プーチン大統領はウクライナ問題でEUと対立し、最近はシリア問題で米国とも対立している。トランプ大統領とは連携を組むようにみえたが、最近はアメリカのシリア空爆もあり、関係が悪化している。米露関係が冷え込む中で、朝鮮半島に緊張が走っている。

 先進国の中でプーチン大統領とまともに話せるのは安倍首相だけというくらいの重要なポジショニングを得ている。プーチン大統領の強引な手法に対して、ヨーロッパの首脳も距離を保ちながら付き合う状態である。そのプーチン大統領と長時間、「テタテ」、つまりサシの会談ができる関係というのは意味がある。ちなみに、トランプ大統領もそのアメリカ第一主義の政策などから距離をおく首脳も多い。その中で、安倍首相は27ホールのゴルフを交えての特別待遇の首脳会談を行なえる関係を作っている。トランプ大統領とプーチン大統領と長時間、会談できる首脳は現在のところ安倍首相だけという状態だ。米露関係が冷える中で、安倍首相の存在感が注目されている。

 トランプ大統領は習近平国家主席とは首脳会談をして、コミュニケーションラインは確立している。問題はプーチン大統領との関係だ。今回のプーチン大統領と安倍首相の首脳会談に対して、アメリカ側は懸念よりも期待の声を出しているといわれる。北方領土問題は長期戦の様相だ。2島返還という妥協案さえ簡単ではない。米露関係が悪化する中では軍事的視点からもロシアにとっての価値は高まっており、辛抱しながらの交渉しかない。ウラジーミル・シンゾウと呼び合う仲といっても、安倍首相は完全にアメリカ寄りであることは明白だ。オホーツク海の防衛において、米露対立の状況下では、ロシアが北方領土を手放すことはありえない。

 今回の会合で注目されるのは、北朝鮮問題におけるロシアの態度だ。北朝鮮問題において、習近平国家主席と金正恩最高指導者の関係が冷たくなるにつれ、プーチン大統領の役割が注目されてきた。現在、北朝鮮問題で鍵を握るのはロシアだ。北朝鮮と中国の関係が重要視されてきたが、ロシアとの関係はますます重要となっている。米露関係が冷え込む中では、ロシアは北朝鮮に親米傀儡政権が生まれることはなんとしても防ぎたい。すでにロシアは北朝鮮国境に軍隊を集合させているといわれる。読売新聞(4月27日付)は「北朝鮮の核・ミサイル開発を巡って緊張が高まる中、ロシアの一部メディアはロシア軍が北朝鮮との国境付近に部隊を展開し警戒を強めていると報じた」と書いている。アメリカに対して、武力行使をさせないという強いメッセージだ。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会