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2016-12-23 22:50

(連載1)北方領土返還への危険な賭け

児玉 克哉  社会貢献推進機構理事長
 プーチン大統領の日本訪問は、北方領土問題でのなんらかの進展があるものという期待があった。プーチン大統領は国民からの支持も高く、良い意味でも悪い意味でも「強い」大統領だ。安倍首相も今もかなり高い支持率を誇り、強い首相といえる。北方領土問題の解決にはお互いに妥協が必要で、強いリーダーシップがないと実現ができない。この機を逃すとずっと北方領土の返還はないのではないか、と思えるくらいだ。

 2014年まで原油価格の高騰で好景気を続けたロシアであるが、2015年からは原油や天然ガス価格の落ち込みとウクライナ情勢をめぐる米国や欧州連合(EU)による経済制裁によって、ロシアは厳しい状況に置かれた。日本の経済投資を求めるロシアと北方領土返還を求める日本との思惑が一致するのではないかと期待されたのだ。しかし、原油価格がやや上がる傾向にあるのと、アメリカでトランプ大統領が誕生することなどから、日本との交渉に北方領土返還の飴を出すまでもない、という判断であろう。

 安倍首相とプーチン大統領との首脳会談は友好ムードの下で行われたとのことだが、北方領土返還に関してはほとんど進展はなかった。北方領土問題の解決を含む平和条約の締結については「まだ多くの課題が残っており、信頼の醸成が欠かせない」ということだ。平和条約の締結においても、ロシアの側に北方領土返還が入っている認識であるかどうかも怪しい。

 経済協力プランに関しては、民間を含め、日本側が総額で3000億円規模となる経済協力を進めることで合意した。企業間では東シベリアにおける共同炭鉱開発や、北極圏のLNG=液化天然ガス開発への融資など、60件余りの合意文書が取り交わされた。これは日本経済にとっても基本的にはプラスである。シベリアの資源は日本にとっても魅力である。経済活動は双方的に利益をもたらすもので、一方的に日本が負担するという見方は間違いである。経済協力、経済活動のもとに、お互いが信頼醸成を行うことは友好関係構築の基本中の基本だ。それはそれで王道の発想だ。(つづく)
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