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2016-08-03 19:16

これまでとは異なる展開のアメリカ大統領選挙

川上 高司  拓殖大学教授
 7月18日に共和党の党大会が開催され、ドナルド・トランプを大統領候補、マイク・ペンスを副大統領候補として正式に決定した。民主党の党大会は25日から開催され、ヒラリー・クリントンを大統領候補、ティム・ケインを副大統領候補として正式に決定した。これによりいよいよ本戦はこの4人で闘うことになる。今年の大統領選挙は、両党とも想定外の展開だった。まず保守的な共和党では、およそ保守とはほど遠い型破りな実業家のドナルド・トランプが正統派保守の候補を寄せ付けずに圧倒し、大統領候補の座を手に入れた。史上初めてといえるほどに暴言・放言が多い型破りな候補者だが、その圧倒的な支持ゆえに共和党は分裂の危機を迎えた。

 型破りであるゆえに副大統領候補は手堅い人選をするであろうと予測されたが、まさにその予測通りトランプが選んだのは、インディアナ州知事のマイク・ペンスだった。下院議員の経験を持つものの全く無名であり、おそらく多くの有権者の最初の印象は「誰?」であろう。世論調査によれば62%の有権者がペンスを「知らない」と答えている。アメリカ史上初の女性大統領候補となったクリントンもまた、予備選では苦戦を強いられた。クリントンをワシントンエスタブリッシュメントの象徴と見なした若者層が、既存の政治システムを打ち破ると希望を託してサンダースを支持、その勢いは正式な指名の後も衰えず民主党の分裂の危機を招いている。

 クリントンが副大統領候補として指名したのは、上院議員のティム・ケインである。おそらくこの名前を聞いてわかる人はいないというほど無名である。有権者の61%が「知らない」と答えるほどの知名度の低さはペンスと同じだ。ケインはカンサス育ちの58歳、3人兄弟の長男でカトリックである。スペイン語が堪能であり、大学では経済学を学んだ。ヴァージニア州知事を務めた経験があり、州知事時代には州の赤字財政を立て直した実績を持つ。ケインは政治スキャンダルが全くない堅実で地道、きまじめである。クリントンの人選もまた手堅い。

 民主党も共和党も、期せずして同じ問題を抱えることになった。それは格差に起因する不満から生まれた分裂の危機である。その不満は党の方針は政治的信条を越えたパワーを持ち、どちらの党もエスタブリッシュメント対庶民という対立と分裂を抱えた。パナマペーパーズの暴露が世界から礼賛されたのも、個人では越えられない「格差」への不満と現状の破壊願望があるからである。女性の社会的進出、格差、既得権益、人種、アメリカが抱えるさまざまな社会問題が一気に噴出している2016年の大統領選挙を世界が注目している。
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