国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2016-04-27 10:15

(連載2)財政政策修正なら景気は持ち直す

田村 秀男  ジャーナリスト
 あとは、政府がこのチャンスをどう生かすかである。もちろん、予算を前倒しして、補正で一過性のばらまきを行ったあとは、再び緊縮財政というこれまでのでたらめな財政を踏襲するなら、話は別だ。冒頭に挙げた外部からのマイナス圧力も、関係国の政策の誤りが元凶だった。中国の場合、当局が人民元切り下げに動いたために資本逃避が加速し、国際金融市場を動揺させた。米国の場合も、利上げを急いだために、新興国市場を混乱させた。

 もちろん、中国では生産能力の半分は過剰とも言える構造問題が深刻だが、だからといって日本がこれまで以上に深刻なとばっちりを受けるはずはない。日系進出企業は着々と他のアジアに転進している。当局は資本規制し、元安に歯止めをかける方向に軌道修正しており、中国製品の安値輸出にも限度があるだろう。

 米連邦準備制度理事会(FRB)も先の利上げが引き起こした金融市場への混乱を繰り返すまいと、慎重に「市場との対話」を試みている。実体経済そのものは依然として、回復基調にある。欧州のほうは、ユーロ不安は去らないし、ドイツ銀行の不良債権など難題を抱えている。

 ユーロ圏が一致できる経済政策は欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利政策だけというのも心もとない。英国の欧州連合(EU)からの離脱問題、中東からの難民受け入れ問題と課題山積だが、それらは金融市場に影響しても、日本の実体経済そのものを脅かすわけではない。安倍政権はこれまでの間違った財政政策をただして、粛々と民間投資の呼び水となる有効需要の創出に励むべきだ。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会