国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2015-06-19 10:21

(連載1)財政再建の本質とは何か

鈴木 馨祐  衆議院議員
 財政健全化を巡る議論が「骨太の方針」の策定に向け本格化しています。やや気になるのが、歳出削減と経済成長が両立しないトレードオフであるかのような議論が一部に出ていること。日本経済の大半は民間企業の設備投資と個人消費であり、歳出による公的需要が経済の循環を左右するというのは全くの詭弁です。むしろ経済の好循環を考えるのであれば、予算という形で経済への政府の関与を強めるのではなく、戦略的な減税により民間が使える資金を増やすことの方が効果的です。

 歳出削減が経済成長を阻害するという議論は、安倍政権の経済政策「3本の矢」について、2本目の矢にばかり視線が集中する旧い体質の政治家の感覚に近いと言わざるを得ない。公需は日本経済を支えるほどパワフルではあり得ないのです。まずはこの認識が必要です。今の財政に関する議論については、ポイントはかなり明らかで、基本的には社会保障経費や防衛、教育、社会資本整備のうちの最低限必要なものを政府の支出でカバーする、それに加えて、緊急時に限って一時的な呼び水としての需要創出を行うことはあり得る、これが歳出の大原則です。

 そして、それを賄うための歳入の議論がついてくるわけです。ただし、今の日本にあっては、過去の借金もあり、また経済的にも過去のトレンドから考えても平均で50兆円台後半の税収というのが目一杯の歳入レベル、この相場観の下で、歳出についても当然それなりのキャップが必要になってくる、これが財政の議論です。

 国が今始まるわけではなく、過去との連続の中で存在する以上、財政問題は現実論でなくてはなりません。国内外の市場関係者、経済界、海外の政治リーダーと話していて指摘される話があります。今の財政状況にあって、道は三つしかない。歳出削減、増税、将来世代へのツケの先送り。日本はそうも最もやってはならない3番目の道に堕ちていくのではないか、という見方です。(つづく)

 
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会