国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2014-04-04 11:45

「政府系株式会社」の乱立に物申す

鈴木 馨祐  衆議院議員
 党の総務会にかかった法案で、「株式会社海外交通・都市開発事業支援機構法案」というものがありました。昨年には「株式会社海外需要開拓支援機構法」(通称クールジャパン法)も成立したところです。確かにプラントの海外輸出、クールジャパン、等々、日本の今後の生きる道として必要な展開ですし、そのこと自体は私もむしろ推進すべしと党内でも主張してきたところです。しかし、そのような名目のもと、最近明らかに何かあると「政府系株式会社」を役所が設立しようとする動きが顕著になってきています。

 明らかに方法論としてこれ以上の行き過ぎはくい止めねばならないと考え、役所ともその議論をさせていただき、自民党総務会でもその趣旨を発言させていただいたところです。本来政府が、クールジャパンやプラント輸出等で関わるべきは、事業の運営主体として丸抱えをするのではなく、例えばJBIC等からの低利の資金の提供や大使館やJETROを通じたPR支援、契約交渉などにおける政治レベルでの支援、あるいは回収ノウハウの支援や貿易保険、知的財産権等の制度支援に特化するべきで、それを超えて、人も出します運営もしますでは、本来商社やゼネコン等の企業連合がになうはずのビジネスを、単に政府が奪ってしまうということにもなりかねません。

 そもそも、海外でビジネスをするにあたって有為な人材、コンテンツの目利きを出来る人材、ホットマネーと技術とアイデアをつなぐことが出来る人材、まさにこうしたプロジェクトの一番の核ともいうべき人材が、霞ヶ関に民間以上にいるはずがないことは少し考えれば明らかです。結果的に民間から人を募集するということになっている現実もあり、何故わざわざ政府が商社の真似ごとのようなことをやらねばならないのか全く意味不明なところがあります。百歩譲って、これまでに提出されてきたものに関しては民間企業がリスクを負いたがらないから、誰もやらないから、という役所側の説明が事実とすればある程度存在意義はあるのかもしれませんが、そろそろいい加減にしてくれというのが正直な感覚です。

 政府が大きくなればなるほど、民間企業の活動領域もマインドも萎縮してしまうことになりかねません。政府が乗り出してくれば民間もわざわざその分野でリスクを冒さなくなるわけで、しかも株式会社の機構である以上は採算性を気にせざるを得ず、民間では担いきれないリスクを政府が代替するということにもならないという不思議な状況ともなりかねません。このところ、急速に「大きな政府」志向がこれに限らずあちこちで見られるようになっている気がします。これまで以上に厳しく、政府が本当にやる必要があるのか、その必要性についてチェックしていきたいと思います。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会