国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2013-11-15 11:33

フォーブス誌ランキングからみる4強時代の到来

川上 高司  拓殖大学教授
 10月30日、フォーブス誌が世界でもっとも影響力のある人物ランキング2013年度版を発表した。フォーブス誌は政治や経済、財界、宗教などの分野から72名を選び、それぞれの活躍を考慮してランクをつけた。今年世界の頂点に立ったのはロシアのプーチン大統領だった。シリアへの軍事攻撃をアメリカとヨーロッパが推し進める中、アサド大統領を説得し化学兵器の破棄をさせることで軍事攻撃を回避した。その見事な外交手腕が評価されたのだが、まさに外交による解決というスマートパワーのお手本となったことに異論はないだろう。

 2位にランキングされたのは昨年は1位だった、バラク・オバマ大統領だ。エジプトの政変、シリア問題、NSA盗聴問題と外交面でだけでなく、政府機能の閉鎖とデフォルト危機を招いて国内政治でもマイナス点を積み上げたが、失敗しても影響力が絶大なのは変わらない。良くも悪くも世界はオバマ大統領の動向に敏感で期待も大きい分失望も大きい。3位につけたのは中国の習近平国家主席である。外交面ではそれほど目立った成果はあげておらず、米中会談が世界の注目を浴びたくらいであろう。もっとも米中関係の改善に貢献した点は評価されるべきで、成果がそれほどなくても存在感は抜群である。昨年のランクは9位であったから大躍進である。

 5位に付けたのはドイツのメルケル首相だった。ユーロ危機以来その政治手腕は評価が高くなりつつある。今では文字通りEUを引っ張る指導者としての力量と自信は不動のものとなっている。もちろん、世界で最も影響力のある女性としてはトップに君臨している。ちなみに4位に位置するのはローマ法王である。シリア問題では世界中に平和の祈りを呼びかけると10万人の人々がバチカンに集ったが、その影響力は国境を越えて十分に大きい。宗教者でローマ法王に続くのは23位にランクされたイランのハネメイ師である。彼はロハニ大統領に対して強い影響力を持ちそれはアメリカとの関係にも影響を及ぼす。その点が評価されたのだろう。

 上位の政治的指導者を見ていると、ロシア(ユーラシア)、アメリカ(南北アメリカ)、中国(アジア・オセアニア)、ドイツ(ヨーロッパ)と地域的には全世界をほぼ網羅している。4強時代の到来だろうか。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会