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2013-11-01 20:50

日朝裏面交渉に登場するモンゴルの動き

歳川 隆雄  「インサイドライン」編集長
 日本と北朝鮮の間で動きがあり、日本人拉致問題に進展が見られるかもしれない。10月30日、ピョンヤン滞在中のエルベグドルジ・モンゴル大統領は金永南最高人民会議常任委員長と会談した。注目された金正恩労働党第一書記との会談は行われなかった。2004年12月のバガバンディ大統領(当時)の北朝鮮訪問時にも、金正日労働党総書記(当時)は会談しなかった。それでも、北朝鮮・モンゴル両国は、今年国交樹立65年の節目にあるだけでなく、中国とロシアという大国に挟まれた両国の外交・安全保障・経済面での急接近は目を見張るものがある。そうした中での両国首脳会談で日本人拉致問題が協議されたのだ。

 伏線はあった。9月11~14日に日本を公式訪問したモンゴルのアルタンホヤグ首相は、安倍晋三首相との会談で拉致問題解決に向けて米国を含めた3ヶ国の実務者協議を定期的に行うことに同意した。さらに9月29日、安倍首相は非公式訪日したエルベグドルジ大統領と東京・富ヶ谷の自宅で会談した。同会談の日本側出席者は、外務省の伊原純一アジア大洋州局長と北村滋内閣情報官である。北村内閣情官は、第1次安倍内閣時の首相秘書官(事務担当)を務めた安倍最側近である。それだけではない。7月には極秘裏にモンゴル入りし、北朝鮮側と接触したとされる。また、8月にも韓国を極秘訪問し、青瓦台で朴槿恵大統領側近の朴俊雨大統領首席秘書官と会っている。言わば、安倍首相の「特命担当」である。

 関係改善の兆しが見えない日中関係では、尖閣諸島問題解決の落しどころに知恵が求められているが、こちらもまた、安倍首相の外交ブレーンである谷内正太郎内閣官房参与(元外務事務次官)が9月中旬に密かに北京入りするなど、首相特命案件となっている。

 日朝裏面交渉の進捗状況は、東京・富士見町の朝鮮総聯中央本部の土地・建物競売問題に見ることができる。実態が不透明なモンゴル企業アヴァール社が50億1000万円で落札したが、仮に東京地裁が売却許可の判断を下すようであれば、「政治判断」がその背後にあると言わざるを得ない。日本とモンゴルの首相、大統領を別にすれば、アヴァール社(元横綱・朝青龍)、朝鮮総聯(許宗萬議長)、飯島勲元首相秘書官(内閣官房参与)、そして北村内閣情官など、裏舞台の登場人物は多彩である。
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