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2013-06-06 10:11

アジア政党会議に見る中国のしたたかさ

鈴木 馨祐  衆議院議員
 5月29日の午後から、中国の西安で開催されたアジア政党会議(ICAPP)に自民党より派遣され出席してきました。またその場で、共産党の外交担当部局である中共対外連絡部の高官とも日中関係等につき会談も行いました。会談や経済発展と環境問題をテーマとした会議の中身はさておき、今回目にしたものは、ある意味中国を考える上でとても考えさせられるものだったので、今日はその点についてここに書かせていただきたいと思います。

 まず一点目。「アジア」政党会議にも関わらず、アフリカやラテンアメリカの国々からも出席があったこと。そして、二点目。迎賓館での宿泊を提供し、非常に立派な大会堂で李源潮国家副主席との会議をセットし、かつ出席した政治家全員に李副主席と握手させ写真を撮影する機会を設定していたこと。三点目として、会議の裏番組として、中共中央対外連絡部幹部との個別のミーティングをセットしていたこと。そしてセットされていた視察では中国の経済発展のモデルハウスのような村の視察がされていたらしいこと(私は会議にしか参加していないので行った参加者から聞いた話ですが)。

 おそらくこれらがアジアやアフリカの国々の政治家に与えるインパクトはそれなりのものがあろうと思われます。かつての冊封体制を彷彿とさせるまさに中国の伝統的なお家芸と言ってもいいテクニックではないでしょうか。確かに会議の運営自体は厳重な警戒態勢で行われていながらも、ロジ・段取り的には、日本などの先進国の目から見ればまだまだ粗いところも多かったものの、しかし、中国外交のしたたかさを垣間みる気分になったのも事実です。様々な場面で途上国グループを作りその盟主として行動する、あるいは上海協力機構やアフリカへのコミットメントのように様々なチャンネルを活用して国際的な政治力発信力を高めるやり方が目立つ最近の中国。

 今回の会議もかつては小規模な地味だった会議が中国主催で非常に大規模なものとなっていた裏には、こうしたグループ形成の中で首脳レベルだけではなく、一般の政治家レベルの取り込みを図るフォローアップをしてがっちりとその国をつかむ、という思惑が透けて見えるような気がします。そしてその成果か、中国と関係が深い国からは元首クラスも参加していて、いつの間にか会議自体が中国の主導のもとの会議とのムードとなっていたのも印象的でした。日本がこの政治力に対抗しながら、国際社会で中国に法の支配や国際法の尊重を求めていくには相当の戦略と連携が必要だと改めて痛感した次第です。外交は国政が担う最重要テーマの一つです。今後ともしっかりと頑張っていきたいと思います。
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