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2013-05-24 10:19

「外務省は『暗黙の了解』の存在を認めているに等しい」を読んで思う

中山 太郎  団体組織研究所客員研究員
 5月23日付けの姉妹政策掲示板「百花斉放」に掲載された桜井宏之氏の投稿「外務省は『暗黙の了解』の存在を認めているに等しい」において展開されている「なぜ尖閣諸島領有権問題は、これ程までにこじれたのか?その我が国国内要因の1つが、中国に対して領有権の主張を怠った外務省の怠慢にあると言わざるを得ません」との論について、一言述べる。歴史は、後から、幾らでも最良のシナリオを書ける。外務省のみを悪者にして、それで問題が、分析されたとの、単純な見方を私はとらない。

 領土の有効支配の一つの良策は、いつの世にも、時間はかかるが、ヒッソリと支配を確保しておくと言うのは、どこの国でもやるやり方だ。当時の日中の外交に関与した人間の残した記録を注意深く読めば、中国側にも、暗黙のうちにその流れを認める流れはあったのだ。

 中国が尖閣を中国領土と規定施行した、1992年の「領海法」についても、大陸棚自然延長に固執する、国内の一部勢力の動きに、日米とも、片目をつぶり、見ない振りをしたのだ。中国は、平和的発展をしきりに唱えていたし、日本初め、西側文明諸国では、それを信じるふりを装わなければ、中国をいたずらに刺激することになるし、かえって敵対的態度にむかわせることになる、との論が主流を占めていた。90年代の世界の対中政策の目玉は、WTO参加をどうするかであった。当時の西側諸国は、参加させることで、中国を西側のルール遵守に向かわせることが可能だと判断した。

 日本の通産省が、先頭に立ち、中国の加盟に向け、多大の努力をしたことは、皆が知るところだ。中国は、途上国待遇の極めて有利な条件で加入した。その後の、流れは、知る人ぞ知るところである。中国は、知的所有権尊重どころか、文明世界のルール遵守に必ずしも熱心ではなかった。そして、その専制国家資本主義という、特異な経済の下、大もうけをしたのだ。経済に自信を持った、中国は、その他分野でも、自国の意思のみを押し付ける態度に出るようになった。これは、80、90年代の中国側の各分野での担当者でも、予測がつかなかったことだ。ましてや、国外の担当者にとっては、想定外であったとしても、責められないと考える。
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