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2013-03-07 20:12

サイバー戦争への備えを急がねば

高畑 昭男  ジャーナリスト
 温家宝中国首相の一族の蓄財疑惑を報じた米紙ニューヨーク・タイムズが中国から集中的なサイバー攻撃を受けていたことが分かったのは1月30日のことだ。驚いたことに、翌31日にウォールストリート・ジャーナル、2月1日にはワシントン・ポストも、攻撃を受けていたことを認めた。米主要紙が軒並みサイバー攻撃の標的にされていたわけだ。

 「メディア冥利に尽きる」といった感慨もあるかもしれないが、ニューヨーク・タイムズへの攻撃は4カ月に及び、ワシントン・ポストへは5年越しで続いているとなれば、そんな話ではすむまい。ウォールストリート・ジャーナルへの攻撃は、同紙北京支局のシステムが侵入経路となり、「狙いは中国報道の監視にあった」との証拠もあるそうだ。

 事態を重視したのか、オバマ米政権は先月末、中国からの脅威を念頭に、国防総省の「サイバー司令部」の強化計画を決めたと報じられた。今後数年で要員を5倍以上の4900人に増強するという。今月2日には、「サイバー攻撃が迫っている」との確証があれば、大統領が宣戦布告なしに先制攻撃を命令できるとする新「サイバー交戦規則」を近く採用すると報じられた。この中には、攻撃を仕掛けようとする「敵」国のシステムに逆侵入し、有害なウイルスプログラムを送り込む実力行使も含まれるという。

 日本では遠隔操作男の逮捕が話題になったが、世界では国家の安全や報道の自由にも直結する「サイバー戦争」の暗雲がネット空間を覆い始めているようにみえる。米国のサイバー司令部が設立されたのは3年前の2010年で、日本の国家的対応は一歩も二歩も遅れている。豪州政府も先月、「国家安全保障上の脅威」として国防、司法、警察当局などを統括したサイバー攻撃対策本部創設を決めた。日本も、確かな司令塔の下で有効な報復措置も含めた戦略を立案し、サイバー防衛を急ぐときだ。
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