国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2012-09-27 09:18

掟破り・石原暴走外交の結末

若林 洋介  学習塾経営
 事の発端は、石原都知事が尖閣諸島購入宣言を、こともあろうに米国で行なったことにあった。一自治体の首長にすぎない石原都知事が、日本国民に対してではなく、米国国民になぜアピールしなくてはならなかったのか。明らかに掟破りの越権行為であり、政府の専権事項である外交権への挑戦であり、同時に中国政府に対する挑発行為であったのだ。 

 これは満州事変を起こした関東軍の手法ではないか。当時の幣原外相の協調外交を軟弱外交として指弾し、天皇陛下の専権事項である統帥権を干犯して満州事変を起こしたが、成功を収めたことで国民の拍手喝采を受けた。まさに「政府が軟弱だから、オレ達(関東軍・石原莞爾ら)が実行するんだ」というわけである。その結果は、国際社会の指弾を受け、国際連盟からの脱退に追い込まれた。今回も石原都知事の掟破りの外交パフォーマンスの大義は「政府が軟弱外交だから、オレが尖閣の実効支配を強化するんだ」ということであり、それが多くの国民の支援を受け、十数億円に及ぶ自発的な支援金を受けるに至った。
                    
 そこで日本政府は、これまでの借地権に基づく維持管理の継続という政府の外交方針に対する挑戦的な石原都知事の外交的暴挙を阻止するため、国有化に踏み切ったということなのだろう。ところがこれらの一連の行動においては石原都知事のみならず、自民党の石原伸晃幹事長も動いており、中国政府により、石原都知事・石原自民党幹事長・野田首相らが画策した一連の日本政府の戦略的行動であったとみなされたのであった。このような策略外交は、中国政府の常套手段であり、彼らがそのように分析したとしても不思議ではないというところだろう。石原都知事の米国における尖閣購入宣言がすでに野田政権との共同謀議による行動であり、野田首相の対中外交の戦略的行動とみなしたのだ。
        
 日本人なら石原都知事・野田首相とそれぞれの行動の結果として、尖閣国有化が行なわれたということが理解できるのだが、戦略的な思考に長けている中国政府はそのようには認識しなかったということだろう。今回の石原都知事による行き当たりばったりのパフォーマンス外交、暴走外交の結末がいかなるものであったかについて、日本国民はしっかり反省すべきだ。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会