国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2012-07-19 06:52

鳩山の代表戦“対抗馬”擁立では勝負になるまい

杉浦 正章  政治評論家
 小さなカマキリが前足を振り上げて大きな車に立ち向かうことを「蟷螂(とうろう)の斧」という。「荘子」にあるが、もはや元首相・鳩山由紀夫がそう見える。7月18日も首相・野田佳彦に対抗して9月の代表選への候補擁立に言及したかと思うと、離党カードを振りかざす。離党と対抗馬擁立は180度相矛盾していることなのに、堂々とルーピーは公言する。しかし離党カードは、川柳で言えば<えっまだ居たのと驚かれ>というくらいで、ブラフにはならない。対抗馬も消費増税法案反対派にはろくな候補がいなくて勝負にならない。

 要するに、鳩山は民主党に対するオーナー意識が強すぎるのだ。18日もネット番組で「私がたった一人で動き始め、民主党を作った。私がいなければ民主党はなかった。今の変節した民主党にも愛情はある。原点を取り戻すことが可能かどうか追求したい」と強調したという。本人は金も出したし、汗もかいた。この党をにっくき野田ごときにろう断されてなるものか、という怨念に凝り固まっているのだ。ひとたび作った政党が、本人の能力に起因して、ダメージを受け続けていることなどは、とんと忘れている。普天間問題で「最低でも県外」発言に象徴される支離滅裂さが、内閣退陣の直接原因になったことも忘却の彼方だ。退陣が実現しなかったら、作った民主党はつぶれていたかもしれないのだ。 自らが消費増税法案をめぐる戦いに完敗したことも、全く理解出来ていない。だから代表選を「民主党が政権交代の原点を取り戻すラストチャンスだ」と位置づけ、「次の代表選挙でどういう人材を擁立すれば、民主党の原点をもう一度取り戻すことができるのか、試していきたい」と対抗馬擁立を宣言したのだ。しかし代表選の候補になり得る人材は、副総理・岡田克也も政調会長・前原誠司も政調会長代行・仙谷由人も、消費増税法案賛成派だ。反対派の山田正彦や川内博史では、とても戦えない。ジョークにもならない。先が読めないからこそ反対派であることが分かっていない。

 それでは、離党カードの方はどうか。鳩山は「外で、野党的な立場から政権に対して正しい方向を求めていくのか、その辺の決断をしなければならない時が来る」と述べているが、本当にそのカードが切れるのか。鳩山が1人で離党しても様にならない。問題は何人付いて行くかにある。民主党は相次ぐ離党騒ぎで、衆院で単独過半数割れまで11議席、参院では第1会派転落まで3議席に迫った。参院の方は、もともとねじれているから大したインパクトはないが、衆院で過半数割れとなれば内閣不信任案が可決され得る。確かに代表選挙で首相を交代させるより、不信任案可決で追い込んだ方が一見インパクトが強いように見える。しかしこれも淺知恵だ。可決されれば野田は解散を選ぶ。総選挙では、鳩山は間違いなく除名処分となって落選しかねない。鳩山への同調者も、盟友小沢一郎の新党も、壊滅する流れだ。不信任案可決はまさに両刃の剣で自分に災いが降りかかることになるのだ。それを承知で、鳩山に付いて離党する衆院議員が何人いるかだ。

 これは野田の懐柔策にかかっていることでもある。野田は金科玉条の3党合意を破壊しかねない“きわどい”発言で懐柔し始めている。18日も国会で3党合意の修正について「参院での議論の中で新たな観点が見つかったり、より改善されるなら、そういう議論があってしかるべきだ。予断を持っているわけではない」と述べ、参院での再修正に含みを持たせたのだ。しかし本心では野党の反発が不可避の本格的な修正などできるとは思っていまい。苦し紛れの離党食い止め発言だ。一方、参院では幹事長・一川保夫が同日夜、不満分子十数人を集め、懐柔工作に乗り出した。とりあえずは離党を避けることで一致したようである。野田にしてみれば鳩山などは出て行ってもらって結構くらいにしか思っていまい。しかし、同調者を増やしたくないのだ。対抗馬擁立にせよ離党にせよ、1人の当事者能力に欠けた政治家の言動をマスコミがもてはやしすぎるところにも問題はある。無視すればいいのだが、センセーショナリズムがそれを許さない。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会