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2011-11-28 12:30

反・権力

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 大王製紙井川一族御曹司のご乱行、オリンパス経営陣の不祥事隠蔽、読売巨人軍の内紛、さらにはオウム真理教関連事件の結審。このところマスコミを賑わしているこれら一連の事件に共通しているのは、権力者、あるいは体制に対する異議申し立てあるいは諫言の困難さだろう。このうちオウムを除いては、不正告発に関する民主主義的手続き、あるいは制度的チェック機構は存在していた筈だ。それが権力者(powers that be)の前には全く機能しなかった、あるいは極度の機能不全に陥っていた、というのがありようではないか。

 カルト集団の場合には、使命感とか正義感のようなものが特殊な形でインプットされる他、宗教的な救世観念が強固にそれを裏打ちするから、指導者(教祖)の命令の絶対性という意味合いも少し異なってくる。オウムの場合、日本国憲法の保証する信教の自由との関わりを問題視する向きもあるようだから、破壊活動防止法の適用さえ反対の声の前に見送られた、という経緯さえあったのをどれほどの人が記憶されているだろうか。それはともかく、仮にある主義主張を持った集団が優秀な人材をリクルートして、国家権力の中枢に配置、派遣するというアイディアを持った場合、それを防止する有効な手だては存在しないに等しい、というのもまた事実である。教祖様の下で命令一過、手足のように動く国家公務員(警察や自衛隊も含まれる)というのは、ぞっとしないどころの騒ぎではない。

 大阪の橋下知事の「独裁者」発言が物議を醸しているようだが、彼の独裁者というのは、ポピュリズムに乗っかるとヒットラー(彼が民主主義的手続きで選ばれたことを忘れてはならない)になりかねない、というおそれはなきにしもあらずだ。しかし法の支配(due process)が存在する限り、どこかの国のように自分が当選した後で平松さんを投獄したり、というのは考えにくい。まして彼がサリンを撒いたり、ポアを奨励するのも可能性として存在すると真面目に考える人はいないだろう。その辺りの一線をどこに引くか、というのは悩ましい話だが、最後は手続きに合法性に求めるしかあるまいし、逆に言えばその条件をクリヤーしている限り、悪しき意図が予想されてもそれを阻止する手段はなさそうだ。

 民主主義というのはそういうものだから仕方がない、という見方もあろう。しかし、民主主義の肝心要の柱であるチェック・アンド・バランスが、時の権力者の前にいかに無力であるかを現実に知ってしまったわれわれとしては、これを安閑と見過ごして良いものか、という疑念は残る。で、これをなんとかしようと制御装置のようなものを開発したとすると、それ自体が権力化するという自家撞着に陥ることになりかねない。それほどに恐ろしい道具をわれわれは手にしているのだ、という自覚を持つこと以外、これといった解決策はなさそうだ。杞憂だ、と笑い棄てられるようだと良いのだが。
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