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2011-10-17 12:22

TPPに反対する農水族既得権益の構図

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 民主党内にTPP反対の議員グループが出来ているようだ。なんでも二百名近くお集りとか。TVで拝見した限りでは「TPPは何としてでも止めたい」とか、「関税がなくなれば日本の農業は滅びる」とか、勇ましい。コメの自由化だ、農産物の輸入関税引き下げだ、という時には決まって現われる農水族議員、全農一体になった「許さないぞお」の反対集会には、もう既視感(déjà vu)さえある。でも、おっしゃっていることとは裏腹に、高関税で保護し、需給調整まで行わなければ「活性化」できない農業モデルに未来がない、ということを他の人々よりも一層ご存知なのは他ならぬこの方々の筈なのだ。

 ありようはといえば、立ち行かなくなっている農業モデルが、絶望的で放棄するしかないということをあからさまに認めさせられたくない。いや、オレの時にそれをしたくない。一時間でも、一日でもその日がくるのは先送りして、できれば次の世代にその損な役どころは振ってしまいたい、という悲鳴(悪あがきでないにしても)の様なものだと認識するのが一番当を得ているのではないだろうか。だから百人集まろうが、二百人群れようが、われらが選良がにわかに認知症になった訳でもなければ、正気を喪った訳でもないから、余りそんな心配はしなくてよさそうではある。

 だが、問題の先送りによる解決(といえるかどうかは別にして)、というのは何も目新しい話ではない。それが何でこんなにしこりにしこっているか、といえば、これはお定まりの既得権益、あるいは位置エネルギーが与って力がありそうだ、と思い当たるのには大して想像力を必要としない。例えば全農(というよりも筆者の世代には「農協」と言った方がピンと来る。日本にグループ旅行を定着させた立役者である。)は2万7千人を雇用するそこそこの組織であるのみならず、お仲間内の貯蓄組合のつもりで始めた銀行業務が、貸し出し残高22兆円と侮れない規模に達し、「潰すには大きすぎる(too big to fail)」の典型事例を提供している。お役人同士のなれ合いで、厳しい貸し出し内容審査の対象外にされていることもあって、農政不在の農水省施策のお先棒を担ぎ、近代化だ、機械化だというと、相当ゆるゆるの融資をしていたことは有名だ。そのうち相当部分は不良債権化している、と指摘する人も多い。

 不良債権はともかくとして、乳母日傘の様な農業モデルが通用しない、ということになると、全農の経営自体が危なくなるのは理の当然で、これは関係者たるもの目の色が変わるのは至極当然だろう。何らの問題解決にならないことを承知の上で破滅的な消耗戦に突入するあたり、先の太平洋戦争を彷彿とさせるものがある。さて、今回ばかりは早めに気づくと良いのだが。
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