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2011-09-20 10:09

古賀正明氏の暴露本で知る復興予算利権化の実態

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 東日本大震災から6ヶ月。いまだ余震も収まらず、福島原発も制御出来ていないというのに、台風12号の大きな爪痕である。これほどの天災(人災の部分があるのは、しばらく措くとして)が打ち続けば、一昔前ならば高僧に依頼して加持祈祷を行っていただろう。合理的精神に満ち満ちた21世紀のわれわれとしては、神社仏閣頼みではなく、政府が、官僚機構が、それらに代わって事態の収拾に当たることを期待する。

 加持祈祷を行った高僧がどれほどの報酬を頂いたか、頂かなかったかは、詳らかにしないが、政府が、官僚機構が事に当たったからといって、別途の収入を得る筈もないし、得るべきでもない。国民的災害とも言うべき事態に当たって、物資やサービスの提供に当たる私企業がほどほどの利潤を得るのは格別、公僕たるものがこの機会を貪って、私利に走るなどということは、あってはならないし、あるはずもない、と信じたかった。その信念がぐらついたのは、他でもない、あの経産省の古賀正明氏の内部告発本に目を通してからだ。

 もともと内部告発者(whistle blower)というのには、さして好感を持っていた訳ではない。その存在意義や機能について、理屈の上では納得してはいるものの、「本当に他に方法はなかったのか」みたいな醒めた受け取り方の方が先に立っていた、ということかもしれない。だが、古賀氏の書くところを読み終えた後には、むしろ爽快感とともに、官僚機構というのが、ここまで堕落していれば、氏の手法もやむを得なかったのだろう、という感が深い。災害復興の予算を利権視し、所属官庁の影響力確保と天下り先の対象としかみなさない、という官僚の生態には、呆れるというよりおぞましささえ感じる。

 ナイーブに古賀氏の言い分を鵜呑みにしている訳ではない。しかし、自民党時代に培われた政官財の癒着と、公務員改革を巡るその後の迷走ぶりを目の当たりにすれば、全ての状況証拠は氏の告発を裏書きしているように思われる。翻って、泥鰌宰相は、財務省のスポークス・パーソンかのごとく巷間囁かれている。増税ありきの政治判断が最優先事項である、という想定に基づいた評価のようだが、政策選択に当たっての官僚の影響力と構造的癒着とは、似て非なるものであることは言をまたない。われらが泥鰌宰相が果たしてどちらなのか、ぜひ見守ってゆきたい。のみならず、本来このテーマは「みんなの党」の渡辺喜美氏の独壇場であった筈だ。この時に当たって、氏の再登場を期待すること切なるものがある。
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