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2011-06-09 07:28

川柳でいまの政治を読み解けば、見えぬものでも見えてくる

杉浦 正章  政治評論家
 新聞の時事川柳には、そこいらの政局解説よりもよほど鋭い分析がある。とりわけ朝日と読売が秀逸だ。まず、朝日川柳<総理よりがれきの方を片付けて>と被災地の願望。もっとも、この長梅雨に居座り続けて首相の座もカビが生えるのではないか。読売時事川柳には<がんばろう日本総理が続けても>。もう政治にはさじを投げた、現場ががんばるしかないという悲哀感まで伝わる。読売USO放送の<首相へ、昔ーもう帰るんですか、今ーまだいるんですかー避難所>は大傑作。6月8日で就任から1年を迎えた首相・菅直人に贈りたい。朝日の<避難所で手柄のように笑顔見せ>は、皮肉と言うより、非難が憎しみレベルへ拡大。

 不信任案をめぐる民主党のごたごたを読売は、<不信任大山鳴動メド一つ>。メドとは広辞苑で「だいたいの見当」とあるが、朝日は<メドの字を思わず辞書で引いてみる>。「来年1月」と言った菅の辞書には「メドとは来年のこと」とある。読売の<鳩が出て首尾よくいったためしなし>は秀作。前首相・鳩山由紀夫は朝まで「不信任案賛成」が昼には反対。朝令暮改よりもっと早い。「引退する」が「引退しない」、「国外、少なくとも県外」が「県内」。<この指に極楽トンボすぐ止まり>(読売)。どこにでも止まる鳩山極楽トンボにも開いた口が塞がらない。<その口で嘘をつくなとついた人>(朝日)と庶民の感覚は鋭い。決して首相になってはいけない人が、2人続いて首相になってしまったのだ。朝日に<つれあいに何度も書いた覚書>。世の中「覚書」と「一定のメド」が流行している。<永田町つけるクスリも底をつき>(朝日)で、政治不信は極まった。

 東日本大震災の復興計画を提言する「復興構想会議」も会議は踊る。議長が冒頭から「復興税」を言ったり、「菅支配」そのものだ。朝日に<五百旗頭がふりがななしで読める初夏>。一方、原子力安全委員会の班目春樹も相当なものだ。3月12日の「給水をめぐる官邸のすったもんだ」の発生源。天声人語は「原子力暗然委員会」と批判。<班目をでたらめとふる暗然委>(筆者)。

 世の中エコと節電一色だが、朝日<原発の恐怖思えば夏涼し>。そんじょそこいらのお化け屋敷より、原発の惨状の方が怖い。もっともマスコミの過剰報道はもっと怖い。朝日新聞は、<放射線見えないものでもあるんだよ>と、毎日脅かしてばかりいてはいけない。終いには<途切れない原発ニュースに不感症>(朝日)となってしまう。読売に<茶番劇見ている茶葉が泣いている>。足柄茶からセシウム。行政ももたもた。ついに朝日の<あれに見えぬは茶摘みじゃないか>となってしまった。最後に大連立。<言うなれば狐と狸の合体論>と朝日。確かに狐は仙谷由人。狸は大島理森。まさしくそっくりさんだ。<大連立みんなで渡る赤信号>と読売が警鐘。結局、ぽしゃるのではないか。大朝日様から<小賢しい連立につく大の文字>としかられる。「ふぅ~」<ネタのないときも忘れぬサービス心>「でけた!」。お後がよろしいようで。 
 
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