国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2011-03-10 07:31

「竹島放棄」まで出ては、政権も終わりだ

杉浦 正章  政治評論家
 確かに民主党政権はたがが外れた。あちこちから水が噴出している。今度は首相・菅直人の応援団長が、竹島の領有権主張中止の日韓議員連盟共同宣言に署名したのだ。首相・菅直人は火消しに懸命だが、竹島領有権放棄は民主党内左派の主張として根強く存在している。政権担当後ひた隠しにしている部分が、弱体化とともに露呈しているのだ。もう民主党政権は1年半で、十分政権としての在り方を勉強した。一度野に下り、出直した方がいい。問題を起こしたのは、菅が主宰する政策グループ代表の衆院議員・土肥隆一。「日韓キリスト教議員連盟」の日本側会長として、日本政府に竹島の領有権主張中止などを求める共同宣言に名を連ねたのだ。

 共同宣言は、「日本政府は歴史教科書歪曲と独島の領有権主張により、後世に誤った歴史を教え、平和を損なおうとする試みを、直ちに中断しなければならない」と主張している。菅は9日「大変遺憾だ。竹島は日本の固有の領土で、その立場は変わらない」と不快感を表明したまでは良かったが、国家主権に関わる問題を「党がしかるべき形で対応するのが必要だ」とまたまた党に丸投げした。おそらく土肥は、共同宣言の採択が日本に伝わるとは思っていなかったに違いない。しかし、天網恢恢疎にして漏らさず、2月27日の宣言採択が10日遅れで日本に伝わった。この発言に対する批判は、野党はもちろん政権与党内からも噴出している。しかし右派から極左まで包含する「水と油政党」としては、こうした発言が出るのは何の不思議もない。元首相・安倍晋三が「国家、主権、領土に対する民主党の体質を表しており、看過できない」と述べているとおりだ。

 その証拠に、衆院議員を辞職した小林千代美を後援した北海道教職員組合は、機関紙に「竹島問題は韓国の主張が正しく、島根県などが竹島の領有権を求める行為は、日本の侵略・植民地支配を正当化する不当極まりないものである」と主張している。この線に沿った学習資料を配付した書記次長は、「生徒の正しい判断を助けている」とうそぶいている。こうした体質は、菅自身の過去の行動にも現れている。国会でもたびたび取り上げられているが、北朝鮮による拉致実行犯の辛光洙(シンガンス)元死刑囚の釈放嘆願書に署名しているのが、何よりの証拠だ。

 言うまでもなく、我が国固有の領土保全は、政権担当政党のイロハのイであり、こともあろうに首相を支持するグループのトップが、他国の議員と結託して、固有の領土の領有権の主張を中止してはなるまい。もちろん対中・対露・対北をにらんで、日・米・韓の極東における安保上の連携は不可欠であるが、領土問題は別次元の問題として対処する必要がある。自民党は、3月10日、党の外交部会と領土問題に関する特命委員会の合同会議を緊急に開き、今後の国会審議で厳しく追及していくことを確認するが、当然だ。冒頭述べたように、鳩山、菅と続く民主党政権は、政権の持つ構造的な理由に起因する内政、外交上の失政、失態を繰り返しており、菅の言うように「4年間の実績をみて国民の判断を仰ぐ」などという悠長なことは言っていられない状況に立ち至った。ここは潔く野に下り、政権政党としての在り方を体得した上で、出直すのが憲政の常道ではあるまいか。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会