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2010-10-01 05:13

大きく進展しつつある米・ASEAN関係

石垣 泰司  アジアアフリカ法律諮問委員会委員
 本年もASEAN首脳会議関連の一連のサミットが開催される季節となったが、従来との大きな違いは、10月末ハノイで開催予定の今回の東アジア・サミット(EAS)には、4月のASEAN首脳会議および7月の東アジア・サミット構成国外相会議において合意された通り、従来よりのASEAN+6(日中韓、豪州、NZ)に加え、米国およびロシアの両国が参加を招請されていることである。

 米国については、オバマ政権になってから、ASEAN地域を含む東アジア地域全般に対する米国の関係についての見直しが行われた結果、1月ホノルルでクリントン国務長官が行った政策演説の中で明言されている通り、米国としては、ASEAN地域と協力関係を緊密化し、アジア太平洋地域における地域協力についても、すでに一員となっているAPECのみならず、東アジア・サミットへの適切な関わり方も、関係諸国と協議していくべき旨の基本方針が明らかにされていた。

 先般の国連総会の首脳レベル会合に際しては、9月24日、ニューヨークにおいて第2回米・ASEAN首脳会議が開催され、米・ASEAN関係の包括的強化をうたい上げた共同声明が採択された。その中で、米国は、ASEAN諸国との首脳レベルでの関与を持続し、毎年恒例のASEANとの閣僚会議やASEAN地域フォーラム(ARF)等のほか、新たなASEAN+8国防大臣会議(ADMMプラス)への参加を表明するとともに、米国の対ASEAN常駐代表部の設置およびジャカルタに常駐する米国のASEAN大使の任命を発表した。さらに、2011年以後東アジア・サミットにはオバマ大統領が自ら出席するとし、10月30日ハノイで開催される本年の第5回東アジア・サミットには議長国のゲストとしてクリントン国務長官を出席させる意向を明らかにした。ASEAN側は、米国のこれら積極的姿勢を評価し、双方は明年の東アジア・サミットの機会に、第3回米ASEAN首脳会議を開催することをも合意した。

 上記の通り一段と明確となった米国の対ASEAN関係強化の方針は、7月ハノイで開催されたARFに際し、南シナ海における中国とASEAN諸国のやりとりについて、米国がASEAN側の立場に同情的姿勢を示したクリントン長官発言と合わせ、米・ASEAN関係の大きな進展といえよう。他方、ロシアについては、10月に第2回ロシア・ASEAN首脳会議の開催が予定されているが、本年の東アジア・サミットやADMMプラスへの参加については、まだ明確な態度を表明していないようである。
 
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