国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2010-08-04 07:28

民主代表選は、管対「反菅・小沢代理」戦争の様相

杉浦 正章  政治評論家
 代表選挙に向けて民主党内の鼎(かなえ)が煮えたぎってきた。複雑な動きを整理すると、小沢一郎が影で糸を操り「反菅代理戦争」を展開してゆく流れが見えてくる。その中核は、小沢側近で前国対委員長の山岡賢次らが作る「09マニフェストの原点に返り『国民の生活を守る』集い」だ。反菅の牙城になりそうだ。焦点は事実上手を挙げた海江田万里に候補を絞りきれるかどうかだろう。

 前首相・鳩山由紀夫の政治家としての力量を改めて問うのは、文章の無駄だが、「どうなっているの」と問いたいのは、そのグループ内のうごめきだ。鳩山自身が菅支持を表明したにもかかわらず、立候補に向けて手を挙げかかっている候補が3人もいる。海江田万里が旧社会党系も含めた会合を開けば、環境相・小沢鋭仁が勉強会を発足、国対委員長・樽床伸二も近く自らを会長とするグループを発足させる。50人のグループで3人も候補が出かねない情勢だ。おまけに反菅の牙城の「集い」に側近の平野博文を参加させている。

 この中でトップを走っているのが、小沢とも近い海江田だろう。小沢のアドバイスもあってか、狙い所も急所を突いている。「小沢・鳩山・旧社会党」連合を目指しているからだ。会合の場所も、旧社会党系の衆院議長・横路孝弘が議長公邸を提供している。「小・鳩・社」連合となれば合計240人となり、民主党の国会議員413人の過半数を軽く突破できる。もっとも民主党のグループほど、数があてにならないものはない。結束が緩やかで、世論の動向などに動かされやすいからだ。加えて、旧民社党系も独自候補の擁立を決めた。こうした候補らに小沢はどういう方針で臨んでいるかと言えば、反菅なら全員に対して当面支援しそうなそぶりを見せている。各候補の会合にそれぞれ議員らを参加させ、“けしかけ”ているのだ。明かに小沢自身は立候補しないで、反菅代理戦争を目指しているのである。

 そして、一番ぎらつく動きが、冒頭挙げた山岡らによる「集い」だ。旗印は「マニフェスト死守」だ。菅が脱マニフェストの現実路線を走ろうとしているのに対して、消費税増税に否定的方向性の強いマニフェスト回帰を訴え、設立趣意書で「民主党は、このままでは次の総選挙で政権を失う」と危機感を強調する戦術だ。路線論争を「マニフェスト死守派」対「現実路線派」の戦いに絞ろうとしているわけだが、この戦術もうまいやりかただ。8月6日の会合の動向が注目されるところだ。こうした情勢から代表選候補は菅一人だけという状況ではなくなりつつあり、複数候補が立つ形にならざるを得まい。問題は、小沢が反菅で候補を一本化できるかどうかだ。一本化出来ればいい勝負になるだろうが、候補者乱立では票の分散で菅が有利となる。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会