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2010-05-21 12:28

北朝鮮をめぐる中露日韓の世論調査結果

岡崎研究所  シンクタンク
 1月に実施されたBBC世論調査の結果が4月18日に発表され、それについて、北東アジアの専門家であるアジア財団の Scott A. Snyder が米外交問題評議会の4月21日付ウェブサイトで論じています。それによると、「今回のBBC世論調査の結果の中で、北東アジア関連で特に注目されるのは、中国およびロシアで北朝鮮への否定的な見方が急速に高まっていること、そして日韓併合100周年の年にも拘らず、日韓両国民の間に驚くほど相手国への肯定的な感情が存在していることだ」という。

 Snyder 氏は、さらに「中国人の北朝鮮に対する肯定的な見方は、昨年に比べ18ポイント下がり(肯定的29%・否定的44%)、ロシア人の北朝鮮に対する否定的な見方は、15ポイント上がった(肯定的25%・否定的50%)。これまで北朝鮮に対し肯定的でも否定的でもなかった中ロ両国民の見方は、急速に否定的な方向に変わり、特に中国人の北朝鮮に対する肯定的な見方は、過去4年間で最低の水準だ。また、日韓両国の北朝鮮への否定的な見方は90%に達し、米国でも70%となっている。以上のように六カ国協議参加国の国民はいずれも北朝鮮に対して否定的であり、この結果から見る限り、北朝鮮の核をめぐる挑発に対抗できる世論の基盤はあるように思える」と論じています。

 そして Snyder 氏は、「しかし、最も驚くべき結果は、今年が日韓併合100年目にあたり、さらに領土問題や教科書問題があるにも拘らず、日韓両国民の間に相手への肯定的感情が存在していることだろう。韓国人の対日観は、2年前の肯定的37%・否定的52%から、肯定的64%・否定的29%へと大きく改善した。日本人の対韓認識は肯定的36%・否定的9%で、どっちつかずの面はあるが、バランスの取れた肯定的な見方と言えよう。日韓両国民の間に草の根レベルでの肯定的な感情が存在することは、両国政府が政治面での協力関係を強化する余地が大いにあることを示唆するものであり、米国としても主要な同盟国である両国の友好感情の発展は大いに歓迎するところだ」と言っています。

 中ロ両国の国民世論が両国政府の対北政策にどのような影響を与えるかは未知数ですが、今後とも、日米韓三国が北朝鮮政策について結束して中ロ両国に協力を求めていく努力が必要でしょう。他方、韓国の対日感情が、両国間に特別の懸案の無い場合には、これほど良好になり得るようになったことは、大変喜ばしいことであり、北東アジアにおいて共通の価値観を有し、共通の脅威に直面している両国が、政治面での協力を強化することは当然のことでしょう。まず手をつけるべきは、北朝鮮についての緊密な意思疎通と政策協調です。
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