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2010-04-26 10:52

事業仕分け第二弾への期待とあきらめ

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 迷走続きで、評判の落としっぱなしだった民主党政権だが、この7ヶ月余りの中で唯一好評だったのが事業仕分けだったというのは、大方の認めるところだろう。とはいいながら、肝心のところは例によって役人主導だったし、準備も切り込みも不足して、結果的には生み出した金額は皮算用の一割にも満たないという惨状だった。とはいえ、とにかく政策執行プロセス(の一部)が有権者の前に明らかにされた、というのは空前の出来事であり、蓮舫議員のかっこよさもあって、民主党の清新さを象徴する数少ない事例とはなった。

 もともとは地方自治体の施策をめぐって開発された手法であり、国レベルでの応用には多少の疑念もあった。そして、その疑念の多くのものはいまだに有効であるが、しかし、官僚専制打破がかけ声倒れで一向に実績が挙らないなかで、マスコミの提灯持ちも与って、にわかに大ブレークした、というのが真相に近いだろう。その第二弾が始まった。どうしようもない体たらくに推移する鳩山政権唯一の希望の光として、この成果に切ないばかりの期待をかけている向きが多いのは、解らないではない。

 一つ確かなのは、これが万能で、これさえ完全に行なっていれば他の政策はどうでも良い、なんていうことになる代物ではないということだ。民主党指導部に、そんな神頼みのようなメンタリティがあるとは思いたくないが、そんな気配がないではない。ことの順序として、冗費支出をとことん切り詰めて、その後に歳入増を図るという(多少怪しくなりかかってはいるが)民主党の当初の主張実行の第一歩であり、それ以上でも、それ以下でもない。

 今回の独立行政法人についても、その選定、スクリーニングの経緯などは、マスコミ報道を見る限り、いささか心もとないところはある。官から民どころか、民から官に揺り戻した挙句、財務省OBを天下らせて、恥じるところのない鳩山さんが、どこまで本気なのかにも、疑念が残る。のみならず、この政権が「新しい公共」をどのようなものと認識しているかに至っては、全く希望が持てない。しかし、ないものねだりはするまい。万能薬のような政策手段が存在する訳はない。「ここと思えば、またあちら」と牛若丸もびっくりの脱法天下りの隠し技を開発する官僚諸氏を相手にして、税金の浪費がいささかなりとも征伐されれば、これに越したことはないからである。
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