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2010-03-17 09:57

(連載)冷戦終焉後の日本政治を考える(2)

袴田 茂樹  青山学院大学教授
 1999年12月31日にエリツィン大統領は突然辞任を表明したが、その時のテレビ演説が改革派の楽天主義を、またその本質を正確に表している。彼は、次のように述べたのだ。「私は皆さんに許しを請いたい。それは、全体主義の過去から文明的な未来に一足飛びに移るという希望は実現しなかったからだ。われわれが簡単だと思ったことは、実は大変苦しく困難であった。私はあまりにもナイーブであった。そして、問題はあまりにも複雑であった」と。これはそのまま、イラク、アフガニスタン問題に関するブッシュ前大統領の言葉でもある。

 プーチン時代以後のロシアは、再び大国主義の論理を前面に出そうとしているし、中国も露骨な国益主義を露わにし、両国とも軍事力の強化に力を入れている。北朝鮮は核兵器とミサイルの開発に力を注いでいる。オバマ大統領もこのような国際情勢を背景に、ノーベル平和賞受賞演説では戦争肯定論とも受け取れる現実主義的な国際認識を打ち出し、世界の平和主義者にショックを与えた。以下はその演説の骨子である。

 オバマ大統領は「戦争は当初、その道義性は問われなかった。やがて『正しい戦争』という概念が生まれた。ガンジーやキング牧師の非暴力の理想だけでは、平和は達成できない。非暴力の運動では、ヒトラーの軍隊を止めることはできなかった。第2次大戦後の世界に平和をもたらしたのは、国際機関とか、条約や、宣言だけではない。武力行使が時に必要だということは、人間の不完全さと理性の限界を認めることでもある」と述べたのである。

 「核の廃絶」を唱えて、また「力よりも、話し合いを重視する」として、ノーベル平和賞を受けた民主党のオバマ大統領でさえも、これだけの現実認識を持たざるを得ないのが冷戦後20年の世界の現実である。この状況で、「友愛外交」の理念を掲げた性善説の鳩山政権は、果たして冷戦後の厳しい国際社会を渡ってゆけるのか。最近の民主党政権の内外政策の迷走ぶりを見ても、このことに大きな懸念を抱かざるを得ない。(つづく)
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