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2010-02-22 07:52

「小鳩」体制では参院選惨敗必至:知事選敗北

杉浦正章  政治評論家
 ツートップの秘書起訴後初の与野党対決型知事選挙で、自公候補が9万票の大差で勝った。民主党の敗因は明らかだ。政権中枢の首相・鳩山由紀夫と幹事長・小沢一郎に対する有権者の憤まんが直撃した結果だ。総選挙で全勝した県の知事選で敗れたのだ。加えて都市部の有権者票の動向を象徴する東京都町田市長選でも、自公推薦候補が再選を果たした。「小鳩」がその職にとどまる限り、今後参院選挙に向けてこの傾向は加速するだろう。「小鳩」体制では参院選惨敗必至の構図が見えている。首相、幹事長は自らの“原罪”の在りかを知り、早急に政治的・道義的責任を取るべきであろう。

 米国で税務署のビルに小型機が突っ込んだとき、日本でも八つ当たり的事件が起きる可能性がよぎったのは、筆者だけであろうか。巷には鳩山の母親からの“子ども手当”は「知らない」という発言と、嫌疑はあるが不十分の政治資金疑惑にもかかわらず、開き直った小沢に対する憤りが満ち満ちているからだ。うっ積した不満のはけ口が選挙で噴出するうちはよい。民主主義が機能している証拠だ。しかし折から確定申告のシーズンである。当局は税務署が憤まんのはけ口になり得るとみて警戒すべきだ。

 民主党は、小沢自身が「知事選は地方選挙だから国政に直接影響を与えない」と身勝手な発言をし、一方で鳩山は就任後わずか5カ月で「選挙応援が出来ない首相」になってしまった。最近しきりに市民との接触で点を稼ごうとしているが、何が問題なのかという本質の見方を誤っている。折から朝日新聞の世論調査で内閣支持率が4割を割り、37%にまで落ちた。注目すべきは参院選で「民主党が過半数を占めないほうがいい」が55%に達したことだ。潮流は変わりつつある。小沢の希望的観測とは裏腹に、一時は楽勝ムードだった長崎知事選敗北と、とどまるところを知らぬ支持率急落が、陰に陽に政局を直撃することは避けられないだろう。昨年3月の千葉知事選挙では自民党候補が勝って、小沢は結局5月に代表辞任に追い込まれた。総選挙と違って、7月にスケジュールが決まっている参院選挙である。渡部恒三ら反小沢グループはまさにスケジュール闘争へと動くに違いない。もちろん「小沢降ろし」である。

 自民党もまた勢いづくだろう。自民党がやや物分かりが良すぎると思える国会対策を展開していたのは、強硬措置が知事選に与える影響を考えてのことであろう。おそらく、小沢本人や鳩山の母親らの国会招致を軸に、審議拒否など強硬路線を展開する流れが出て来た。自民党にとっては艱難辛苦の末に到達した反転攻勢の機運である。もともと先の総選挙には「民主党ブーム」は無かった。あったのは「非自民党ブーム」であったのだ。なおそのアレルギーは色濃く残っているものの、少なくとも知事選、市長選の結果は、「非自民党」“ブーム”だけは去りつつあることを物語るかもしれない。

 冒頭でも述べたが、鳩山と小沢は、自らの責任の所在を一刻も早く知るべきだ。なぜなら2人の“虚言”と断定してもいい数々の発言が、正義を旨とする社会全体の秩序に深い傷跡を残しつつあるからだ。各種調査で小沢辞任要求が、80%から90%に達し、「鳩山の政治資金に関する説明に納得できない」が80%を越えている。このことは何を意味するか。少なくとも国民は民主党に未練を残しつつも、ツートップの疑惑に対して、政治的・道義的責任を求めていることが明白なのだ。国家最高の為政者たる二人は、最高の道徳を発揮して辞任し、社会の秩序を正常軌道に乗せるべきではないか。もう責任回避では政権の地盤沈下がおさまらないのは、火を見るより明らかだ。
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