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2010-01-18 07:34

鳩山・小沢“抱き合い心中”の構図

杉浦 正章  政治評論家
 言語道断の「どうぞ戦ってください」の鳩山発言で、「民主党政権」対「検察・世論・野党共闘」激突の構図が明確になった。鳩山政権は首相と幹事長が一蓮托生のままダッチロールの状態に入った。首相・鳩山由紀夫は幹事長・小沢一郎の逮捕・起訴・辞任のいずれのケースでも退陣を迫られる。まさに“抱き合い心中”の流れが見えてきた。法相に命じて指揮権発動で小沢を救出する作戦があり得るが、その場合検察庁は検事総長辞任で対抗するだろう。民主主義の破壊につながる指揮権発動は、政局を内閣総辞職か解散・総選挙へと発展させるかもしれない。小沢と鳩山は絶対外れることのない“トラバサミ”の罠にかかった。政権に抱いた国民の期待は幻想に終わろうとしている。

 断固として戦う決意を表明した小沢に対して「どうぞ戦ってください」と述べたことの重大性について鳩山は基本的に分かっていなかったのだろう。外交・内政を理解していないのと同じだ。行政府のトップとして検察庁も最終的には首相が指揮監督する最終責任者である立場を知らないのだ。検察というのは自分の秘書まで起訴した「悪い奴」くらいの認識しかないのだろう。17日も「続投の意味で申し上げた、不適切とは思っていない」と開き直っている。「検察批判ではない」と、またまた軌道修正もはかっているがもう遅い。この発言ばかりは後に戻らない。なぜなら小沢の「断固戦う」ー「戦ってください」の“ツートップ闘争宣言”は16日の民主党大会の流れをかたちづくり、「小沢続投」が認知された形となっているからだ。小沢の闘争宣言と、鳩山の小沢支持に拍手ばかりで、いさめる声が出なかったのがそれを物語る。民主党政権全体が検察と全面衝突するという最悪のケースを、戦後の首相で最も不適格者の一人であるリーダーが選択してしまったのである。

 小沢は「党大会に合わせたかのように逮捕が行われた。到底容認できない。これがまかり通るなら、日本の民主主義は本当に暗たんたるものになってしまう」と党大会で発言した。あきらかに出席党員の検察への反発を駆り立てようとしたアジ演説である。しかし、民主主義の危機は小沢自身と、検察の全面戦争に乗った首相の二人が形作ろうとしていることが分かっていない。だいたい検察は党大会に合わせて逮捕したのではない。石川知裕の議員不逮捕特権の生ずる通常国会への小沢の逃げ込み戦略がうかがえたからこそ、それを阻止したのに他ならないのだ。家宅捜査当初から指摘してきたように、検察の狙いは秘書など“雑魚”にはない。秘書の政治資金不記載などではなく、別件にある。まぎれもなく疑惑の土地購入資金源での小沢自身の立件を視野に入れているのだ。血税を使ったダム建設のキックバックが焦点なのだ。検察が自信を持つ背景には、水谷建設などが立件に必要な証拠を供述したからに他ならない。「全日空ホテルで石川と大久保隆規に5000万円ずつ紙袋で渡した」がいまのところ表に出ている供述内容だが、これは氷山の一角だろう。加えて3人の秘書からの供述と押収資料の分析で、何がなんでも小沢立件へと突っ走ろうとしているのが検察である。それこそ小沢の言う日本の民主主義がかかっている対決の構図だ。おそらく秘書らは検察の追及に“落ちる”とみる。そうすれば小沢立件だ。

 そこで今後の展開だが、小沢逮捕または起訴となれば一蓮托生の鳩山は、退陣に追い込まれるのは避けられないだろう。小沢を信じて小沢と対検察で“共闘”を組んでいる責任は大きい。もちろん国会では内閣不信任に相当する。問題なのはかつて西松疑惑を「国策捜査」と決めつけた鳩山のことだ。小沢への「無条件の支援」の延長線上に、小沢立件を阻止するため法相・千葉景子への指揮権発動指示があり得ることだ。“無知”からは何が飛び出すか分からない。民主党は昨年西松疑惑で設置した第3者委員会で「指揮権発動という選択肢もあり得た」というおどろくべき報告書を作成している。千葉も就任早々「一般論として指揮権というのはあるわけで、(発動が)絶対ないということはない」と重大発言をしている。しかし吉田内閣で指揮権発動に踏み切った法相・犬養健は発動後直ちに辞任、以後法相にとって指揮権発動はタブーとなっている。だが、小沢の口車に乗っている鳩山ならやりかねないから問題なのだ。もっとも指揮権が発動された場合、検事総長は、(1)指揮に従う(2)指揮に反する指揮をとる(3)官職を辞するの3つしか対応がないと言われる。その場合、樋渡利秋は辞任を選ぶとの見方が濃厚だ。検察の正義のとりでを守る選択だ。後任も発動されれば直ちに辞任すると言う空気のようだ。検事総長辞任となれば、内閣は総辞職か解散しか選択肢はなくなるだろう。

 こうして政権はダッチロールからきりもみ状態に入ろうとしているが、鳩山がひたすらすがる「国民の皆様」の支持率も18日の紙面で急落。内閣支持率は読売45%、朝日42%へと下落した。小沢辞任を求める意見が読売で70%、朝日で67%に達した。今日18日からの通常国会での論議を通じて支持率は更なる急落必至であり、国民の政権に抱いた期待がはじけた様相だ。
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