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2010-01-14 21:29

(連載)メドベージェフ大統領のロシア批判の意味(1)

袴田 茂樹  青山学院大学教授
 2009年11月12日、メドベージェフ大統領は年次教書でロシア経済の現状をたいへん厳しく批判した。その率直な批判の口調は、9月10日に大統領がインターネットに発表して内外の専門家を驚かせた論文「ロシアよ、前進せよ!」に近いものだ。この論文の口調は、反体制知識人のものと間違えるほどで、ロシア国内でも、国際的にも、大きな話題となった。論文や年次教書では、プーチンの時代も容赦なく批判しているため、プーチンとメドベージェフの関係が悪化しているのではないかと話題になったほどである。
 
 大統領はロシア経済の問題点として、次のことを指摘した。「ロシアの経済は今日でも石油や天然ガスに依存している。しかも、資源産業、原子力、その他の現在の産業インフラはほとんどソ連時代の専門家によって築かれたものであり、今のロシア人が築いたものではない。ロシア経済の後進性はもはや慢性的であり、腐敗・汚職は克服されていない。ロシア製品の品質は恐ろしく悪い。金融危機は各国に打撃を与えたが、ロシアの経済の落ち込みは大部分の他の国よりもさらに深刻である。ロシア経済の悪化の責任は、(米国など他国にあるのではなく)ロシア自身にある」と。このような発言の後、メドベージェフは次のように率直に述べた。
 
 「我々は次のことを認めざるを得ない。つまり今日に至るまでの何年間、過去の負の遺産を克服するための努力を十分してこなかったということだ。また我々はプリミチブな経済、屈辱的な資源依存経済から脱却しておらず、消費者のニーズを無視した生産も相変わらずだ。資源輸出への依存は、これまでと同様、技術革新を妨げている。ロシアのビジネス界は今日でも、他国製品の売買を好んでいる。それは、わが国の製品は恥ずかしいまでに競争力が低いからだ。経済の国有部門は40%以上であり、経済危機の時代には国有部門はさらに増加した。この傾向は危機の時代の世界的現象であるが、しかし長期的に見ると、国有部門の増大には何も好ましいことはない。(次々創設された)国家コーポレーションにも将来性はない」と。メドベージェフは論文「ロシアよ、前進せよ!」では、ロシア経済について、年次教書以上に厳しいトーンで批判して、次のように述べている。
 
 「20年にわたる嵐のような改革の時代を経たにも拘わらず、ロシアは屈辱的な資源依存のプリミチブな経済から脱却できなかった。今日のロシア経済は、ソ連時代の最も悪い遺産、つまり消費者無視の悪習をそのまま引き継いでいる。取引しているのは、自ら製造したものではなく、天然資源かあるいは外国製品で、国産品の品質は国際競争力がまったくない。ロシア経済の落ち込みは、他国よりもひどい。これらが示しているのは、次のことだ。つまりこれまでの年月、必ずしも必要なことがなされた訳ではなく、またなされたことも必ずしも正しかった訳ではない」と。(つづく)
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