国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-09-20 07:40

(連載)新政権は麻生政権の対露政策の経験に学べ(1)

袴田 茂樹  青山学院大学教授
 麻生首相は、これまでのわが国の対露政策の過ちに気づき、反省の念を有している。政治関係と経済関係のバランスを欠いたアプローチへの反省だ。あるいは、領土問題の解決がなくても日露経済関係は進むとの認識を、結果的にロシア側に与えたことへの反省である。総選挙後に選出される新政権は、これまでの日本政府の過ちを繰り返すべきではない。
 
 ロシア側には「創造的アプローチ」はなく、メドベージェフ大統領もプーチンと同じく「1956年の日ソ共同宣言を領土問題解決の基礎にする」と主張している。ロシア側の同宣言の解釈は「2島引渡しで最終決着」というものだ。日本側がこれを呑めないことを、承知の上でのアプローチである。新政権は、これらのことを熟慮の上、対露アプローチを真剣に検討すべきである。以下、この点について、少し詳しく述べる。

 7月9日のイタリアでの日露首脳会談の場でメドベージェフ大統領は、北方領土問題については「平和条約締結後に歯舞、色丹を日本側に引き渡すと定めた1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を行う」と述べた。日本政府の期待を裏切るメドベージェフのこの厳しい態度に対して、麻生首相は「日本側として、ロシア側に平和条約問題について具体的な進展を図る用意がないのであれば、アジア太平洋地域におけるパートナーとしての関係を構築することにはならない」と反論した。

 領土問題の交渉が進展しないのであれば、アジア・太平洋地域でのパートナー関係の発展、つまり経済関係を含めて「日本の協力は難しい」ということである。麻生首相のこの発言は異例であり、ロシア側はこれに特別に注目し、警戒心を示した。私は、メドベージェフの発言に注目すると同時に、わが国ではほとんど関心が向けられなかった麻生首相のこの異例の発言に特に注目した。この2つの発言について、以下に考察したい。まず、麻生首相の発言から考えてみよう。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会