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2009-09-11 07:40

民主、外交・安保で挟撃に遭う構図

杉浦 正章  政治評論家
 三党連立政権成立の“お祝い”代わりに米国から、厳しい注文が来た。インド洋での給油継続を手始めに、米軍普天間飛行場移設計画や日米地位協定に関しても既存の合意履行を求めており、連立の枠組みを直撃しかねない内容だ。一国平和主義の社民党に引っ張られた連立合意が履行できるかどうか、出来なければ最悪の場合社民党の離脱という事態に陥る。首相候補・鳩山由紀夫は日米関係と国内政治の挟撃を受ける構図が早くも鮮明となった。

 米国防総省のモレル報道官は、インド洋での給油活動継続を強く促する一方で、在日米軍再編の見直し方針に触れて「政権運営の責任を感じれば、同盟の重要さや現行の合意で協力することの重要さも分かるはずだ」と、米軍普天間飛行場移設計画や日米地位協定に関しても既存の合意履行を求めた。これに対し連立政権合意は地位協定は「改定を提起」、米軍基地は「見直しの方向」で合意。給油に関しては、補給支援活動を終了させる方針には直接言及せず、「テロの温床を除去」し、「アフガニスタンの実態を踏まえた支援策を検討する」としている。しかし鳩山の発言で給油の1月撤退は明白であり、普天間合意も撤回を求めざるを得ないことになる。このうち期限切れを控える給油は、政権発足早々に対応を迫られる。鳩山ら民主党首脳は代替案を出せばしのげるとの判断だが、自民党政権が知恵を絞って、人的損害もなく国際評価も高い対応として打ち出した給油に代わる対応があり得るかということだ。

 これまで民主党が打ち出した代替案を見るといずれも“荒唐無稽(むけい)”と言わざるを得ない。まず代表だった小沢一郎が打ち出したのがアフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)への参加構想だ。国連至上主義の小沢は国連決議があれば自衛隊の海外派遣はできるとの判断であり、そのための法案まで準備したが、地上部隊を激戦の地に派遣すればどうなるか。まず死傷者が出るのは避けられず、国内世論や野党の反対を乗り切ることは出来まい。海外への自衛隊派遣自体に反対する社民党の政権離脱は必至だ。では自衛隊を派遣しない場合に代替案はあるのか。民主党には自衛隊は派遣せず、JICA職員やNPO関係者、丸腰の防衛駐在官らを派遣して医療や水源の確保など民生部門での支援に当たらせる構想がある。警備は他国の軍隊に任せるか外人部隊で警備会社を作ってに守らせるという構想だ。しかし緊迫した情勢の中で他国の軍隊に日本の軍隊を守る余裕などない。外人部隊も莫大な費用を必要とするだろう。

 それでは小沢の得意な金で済ませるかということだ。湾岸戦争で小沢は米国の求めに応じて自衛隊イラク派遣の画策をしたが失敗、米国からは120億ドルという巨額の“戦費”をふんだくられた経緯がある。金で済ませばことは簡単だ。現地情勢は今後米軍を少なくて1万人から1万5000人、多ければ4万5000人の増派が必要とされており、オバマ政権は日本が何らかの貢献をしなければ、再び“戦費”を要求してくる可能性がある。しかしカネで済ませた湾岸戦争の“屈辱”は自衛隊の海外派遣を促す結果を招いてきており、この潮流とも逆行する。結局、安くて人命の危険がなく、国際的評価も高い“給油”が一番得だと言うことになるではないか。加えて米国は普天間合意の履行を「国家間の合意であり、自民党との合意ではない」と強く求めており、非核3原則の法制化も日米安保体制の根幹を揺るがす問題に発展しかねない。民主党は自らの公約でがんじがらめとなってきているのである。かぶとを脱いで現実政治路線に転換をせざるを得なくなるのが目に見えている。
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