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2009-07-24 11:41

東アジアは「共同体」よりも50年の「不戦条約」を

四条秀雄  不動産業
 EUの掲げる欧州統合の目的の一つは、市場統合や単一通貨をつうじて、世界的覇権国である米国の政治的・経済的圧力に対する交渉力を持つことにあると思います。この点、「東アジア共同体」構想の現実をみると、中国は一国でEUの規模ですし、経済発展段階の違いから通貨政策上の協調行動も取り難いです。そこを韓米FTAや韓EU・FTAのように米国やEUにつけ込まれてしまう結果もすでに生まれています。

 私は、予見しうる将来における「東アジア共同体」の実現は困難であると考えていますが、代替策として次のような提案をしたいと思います。資源と人口のバランスにおいて、アジア諸国は明らかに人口が過剰ですが、これは歴史的に資源争奪競争で欧米諸国に遅れをとったことと、その過程での混乱による人口爆発の結果であると思います。したがって、このバランスを取り戻すことが、アジアにとっての喫緊の重要な課題だと思います。そのためには何をしたら良いか、と考える必要があります。私の答えは、50年間の「不戦条約」の締結です。そしてその間に、社会的インフラをはじめ、これまで築き上げてきた資産・資本を温存しつつ(人為的に破壊せずに)、つまり「不戦と平和」のなかで、徐々に人口減を実現してゆくということです。

 その反対が、戦争を行って資本・資産を破壊することです。その場合には、社会的なさまざまなコントロールが失われ、生物としての本能から人口が急激に増えることになります。これは資源と人口のバランスを更に悪化させるでしょう。人口が社会的に安定的に推移するには平和が不可欠だと思います。日本の人口はすでに減少を始め、中国も30年ほどで実質的には減少を始めるでしょう。他の開発途上国も、生活水準が向上するにつれて、女性の権利が高まり、結婚出産年齢が上昇することで、人口増加率は減速していくでしょう。

 この過程に適応することが、アジアの取るべき道であると思います。「東アジア共同体」をいますぐ追求するのではなく、まずは「失われた時間」を取り戻すため、50年間を「不戦と平和」のために使うべきです。50年というのは長いようですが、インドシナの戦乱が終ってからほぼ30年が経過し、その30年の平和が繁栄をもたらしたことは、アジア共通の認識となっているのではないでしょうか?であるとするならば、50年の「不戦条約」は過去30年の延長線上にあり、達成するのが容易で、かつ非常に戦略的な地域行動であると思います。
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